大和但馬屋日記

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今日のゲーム(五月二十七日)

FORZA MOTORSPORT2(Xbox360,Microsoft,ASIN:B000HDLUY0)フォルツァ モータースポーツ 2(初回出荷特典:限定車「NISSAN FAIRLDAY Z - Custom Forza Edition」入手権利カード同梱) - Xbox360

全く恐ろしいゲームだ。すごい。こいつで走つてゐるだけで、「自動車をセッティングする」といふことの意味がみるみる分つていく。
シミュレーション系のゲームにハマるのは別にこれが初めてといふ訣ではない。自車のセットアップができてリアル指向のシミュレーションといふだけでこれくらゐはやつてゐる。

あ、「ファミリーサーキット」挙げたのを見て鼻で笑つたな? アンタ二度とここ読まなくていいよ。さやうなら。
ここでいふ「リアル指向」といふのは作り手側の意気込みの度合を考慮した。本当にリアルかどうかは問題外。セッティングが簡素化された様な物を含めれば当然もつと沢山遊んでゐるがこれも除外。
しかし、それらで遊んでゐても、最初に書いた様なことを感じた経験は殆どないのだ、残念ながら。セッティングを弄らうにも何をどうすれば速くなるのか分らない、ゲームがその手掛りを教へてくれない。分るのは精々「いいパーツを買つたら速くなる」程度。しかしそれは「金を払つた分だけ報はれる」としか感じられない。それは「ひのきのぼう」より「ゆうしゃのけん」が強いのと何が違ふのだ、と思つた時にワシは「グランツーリスモ」から離れた。思へば、金を稼ぐのが嫌といふより払つた金の意味に気付けなかつたのが敗因だな。
セッティングの意味が分らないといふ点について、上に挙げた中に例外があるとしたらそれこそ初代の「ファミリーサーキット」だけだ。あれはワシにとつて最初の「教材」だつた。二十年後に出逢へた「その次」が、この「フォルツァ2」だ。
ではこの両者に共通してゐるのは何かと考へると、二点思ひ浮んだ。「自車がダメージを受けること」そして「自車のコンディションを確認する手段を持つてゐること」。ダメージといつても「フォルツァ2」はクルマの外観がちゃんと壊れていくんだぜ凄いだろといふ話ではなくて。
走りを重ねるほどにタイヤがグリップを失つてゆく。エンジンが熱を帯びてゆく。レースを走り終へるより先にマシンに限界が来てしまひ完走すらできない。何故だ。マシンに負荷の多い走り方をしてゐるからだ。しかし負荷をかけなくては速くは走れない。ライバルに勝てない。ならば少ない負荷で速く走れるセッティングを見つけるのだ。どうやつて。画面から得られるコンディション表示を元に、原因を一つづつ取除くやうに。
このプロセスがはつきりしないと、セッティングの効果を実感できない。ワシは今まで殆ど玉砕した。さう、全然意味なんて理解してなかつた。
キャリアモード、RX-7で臨んだメイプルバレーのショートコース。PI値はDクラスの限界付近、しかしライバルの上位二台はCクラス。走つてみるとスタートダッシュで一台は喰へる。ところが三周レースの最終ラップで絶対に負ける。タイヤがもたないのだ。左回りの大きなパラボリカカーブがあり、ここで右リアタイヤが逝つてしまふ。結局マシンを大幅に軽量化させて対処。このためにPI値が上つてCクラスになつてしまつたが、リアタイヤへの負担が目に見えて改善した。挙動が軽くなつたことよりも、かういふ効果が視覚的に分ることの意味が大きい。
アーケードモード、MR-2でセブリングに挑戦。これまたタイヤに厳しい。といふか、MR-2といふクルマがリアタイヤに厳しすぎる。熱メーターを横に出して走つてみると、三周目にはアウトになつてゐる。しかしアーケードモードでは空気圧調整しか出来ない。仕方ないので「熱の入らない走り方」を模索する。要はタイヤを鳴らさないことだ。スタートでホイールスピンさせない、ブレーキをロックしない、コーナリングの横G中に無理に加速しない、ギアを低速で引張らない。これが「タイヤに優しい走り」といふやつか。で、きちんとそれらができた時、出たタイムは速い。派手さはなくともラインが綺麗だからだ。当り前だな。
当り前のことが何故当り前であるかをきちんと分らせてくれる。これが何よりすごい。本当に面白くて仕方ないな。もう大丈夫、心は折れない。
あんまり面白いんでお約束のTYPE-Rを作つてみた。


まだ完成度が低いので後で弄らう。

追記:「あれ、GT3やってませんでしたっけ」

「GT3」と「エンスージア」は最初リストに含めてましたが、借り物だしあまり一生懸命やらなかつたので外したのでした。
書き足しついでに。
グランツーリスモ」の場合、初代だか「2」だかのケースに同梱されてゐた、ドライビングテクニックだのセッティングだのがびつしり書かれた「マニュアル」、あれを読むだけでもそれあ勉強にはなるだらうし、実車の教本も然り。
でもそれが、ゲームの中で起きてゐることと「繋がらなかつた」んですな、どうしても。
コーナーをひとつ上手く回れるか否かについて、「今回は時速何キロで回れた」「さつきははみ出した」云々の理由を正確に見極めるのは難しい。それは単に自分の腕にムラがあるだけかもわからない。といふか、アーケードゲーム主体で育つてきたワシの場合、すべてを自分の腕の所為にしてしまひがちになる。
家庭用の「F355チャレンジ」を買つてきて、アーケードゲームには無い車高設定をちくちく弄つても、「なんかよく分らん」。変化があるのは分つても、それが自分の腕と兼ね合せて良い方向に転がつてるのかどうかが実感できない。トーインにしたらどうなるの、キャンバー角つけたらどうなるの。
さういふひとつひとつの事象について、「かう設定すればかうなります」では駄目で、「かういふ理由があるからかうするのです」と教へてほしい。フジテレビ721の「フォーミュラカー基礎講座」が素晴らしいのは森脇基恭氏の語り口がそのへん親切だからで、今回ワシが「すごいすごい」言つてゐるのはもしかしたらあの番組を観たあとだからかもしれない。
ただ、やはり「インフォメーション」が大事で、「ここを変えたらかうなつた」といふ現象が挙動の変化以外のところで確認できるこのゲームだからこそその凄さがわかるのだとは思ふ。セッティングを変へたら一回走つてみて、リプレイ画面でテレメトリを確認。コーナーごとのタイヤの加熱具合はどうか、サスペンションはどう動いてゐるか。このテレメトリが素晴しすぎて、リプレイ画面はこれを見るためにあるのだと思つたらリプレイカメラが格好悪いことなんか本当にどうでもよくなつた。折角のリプレイを、ただ格好つけた絵を見るだけで終らせるなんて勿体無いぢやないか。
あと、パーツ交換に関していふと、「このパーツを装着するとどの程度の効果が出るのか」がPI値として示されるので、これまた分り易い。付けて走つてみて、「なんか変つた気がするけどよく分らん」といふことがなくて済むのは有難い。パーツ交換の後に出たタイムが遅くても、PI値が適正に出てゐるのなら遅くなつたのは自分の腕の所為だと納得できる。
このやうに、問題の切り分けのために必要な情報がゲーム側からきちんと出てくるのが凄いなあと。これの御蔭でずいぶん「勉強」になつたから、たぶん先に挙げたやうな今まで遊んだゲームを今からやり直すと、また違つた感想になるかもしれない。実車向けの教本や「GT」の分厚いマニュアルも今なら少しは理解できさうだ。