大和但馬屋日記

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風化しつつある視點

『プリキュアは苦手、仮面ライダーの方がいい』という息子になぜかと聞いてみたら防御力の面で割と現実的な理由を答えられた - Togetter

なかなか尤もな話である。同樣の理由で自分も子供の頃から長いことプロレスや格闘技の類全般が苦手だつたし、それをべースにした漫畫やアニメ・ゲームも基本的に避けてゐた。「生身の人間が素手で毆り合ふ」といふのだけはどうにも駄目だつたのだ。ボクシングはグローブを着けてゐたので大丈夫だつたが、馬場も猪木も俺のヒーローではなかつた。

さて、件のプリキュアについて、先のページにもコメントしたけれど、初代「ふたりはプリキュア」においてはこの息子氏の氣持に對する配慮がきちんとされてゐた。なぎさとほのかがプリキュアに變身する毎囘のバンクシーンの中で、二人の身體の皮膚の質感がまるで金属の樣に變化する瞬間があるのだ。勿論これは、「セーラームーン」に代表される變身ものアニメの「變身過程で全裸になるのを誤魔化すためのアニメ的な御約束」の一つに過ぎない。ただ、そこでセーラームーンや今のアイカツシリーズの樣に「よくわからないキラキラのエフェクトの身體」とするのではなく、やけに重厚感のある金属質の身體に變化させたといふところが、「女の子による肉彈戰」といふ當時の新機軸に對する制作陣による「繪的な理由附け」であつたのだらうといふことは想像に難くない。

件の息子氏の抱いた感想を肯ずるならば、やはりあれは必要な描冩だつたのだ。二期に渉るなぎさとほのかのプりキュアによつてジャンルが定着してからはもうそんな繪面的に可愛げのない描冩は必要がないと見倣されたのだらうが、元々さういふ視點は制作陣にもあつたのだ、といふことを思ひ出したのだつた。