大和但馬屋日記

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カミカゼの術

蹴球の世界大會で日本代表チームが消極的なパス囘しの試合をしたとかで炎上してゐる。

その試合とは別會場の他の國と同得點で終つたため、フェアプレーポイントなる新しい制度によつて差をつけて上のトーナメントに進出した由。それも、試合にリードした状況ではなく對戰相手にリードされた状態で自陣でパスを囘して時間を稼いでわざと試合に敗け、それで上位進出を決めたといふのだから素人には訣が分らない。まあそれが高度な駈引きか何かなのだとして、ルール的にも何ら問題はないのだとして、しかしこれはどうなんだと思ふ理由が一つある。

スポーツの精神とかは一旦置くとして、これ、自分が同じことをされたら詰みになる状況の方が多い訣だらう、常識的に考へて。次は決勝トーナメント、實力は凡そ周りの方が上、たぶん先に點を取られるだらう。そこで相手がパス囘しなんか始めたら、そこで敗けが決まる。決勝トーナメントだし相手はフェアだからそんな事はしないだらう、と考へてゐるならそれはもう完全に卑怯者の思考だ。次の試合がまともな競技として成立したなら、それはただ一重に相手の御蔭。卑怯者はそれに乘つかつただけにしかならぬ。今囘の試合も他會場の成行きに乘じたものだし、それに留まらず次の試合の流れまで相手の對應に委ねてしまつた訣だ。

生殺與奪は相手次第で手許に有效なカードがある訣でもない。相手の良識につけこんで勝ち目もない捨て身の作戰をとることを、我が國で何と呼ぶかといふと、それは「特攻」である。この國の人として、それで良かつたの? と首を傾げざるを得ないが、これが習ひ性といふものだらうか。そして、球蹴ることと何の關係もないぢやんこれ。