大和但馬屋日記

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yms-zun2015-02-07

朝から出立するつもりでゐたがぐずぐずしてしまひ、昼前にやうやく家を出て新幹線に乗つた。東京行の「のぞみ」は比較的空いてゐる。iPhone電子書籍を読んでゐるとやけにメールが沢山届く。何事かと思へば何週間も前に珍しくツイートした内容がリツイートされた通知だつた。そのリツイート拡散の元になつたアカウントが「ナツゲーミュ-ジアム」。お、おう。
戸惑ひながらふと窓の外を見遣ると多摩川に懸る丸子橋のアーチの片方に塗装作業の足場が組まれて、アーチ橋全体が肌目の粗いドット絵といふかボクセル分割された様になつてゐるのが見えた。一瞬本気で「PIXELS」の映像が現実になつたのかと目を疑つた。ボクセル化されたそのアーチは牧伸二が身を投げた現場で、また自分がよく横浜の職場から浅草の家に帰るのにMTBで走つた道でもあつたから色々な思ひが去来した。
午後遅くに東京に着いて、そのまま秋葉原へ。青島食堂でラーメンをいただく。「今曰は普通盛でいかう」と心に決めて臨んだが、我に返ると手許の食券は「大」を示してゐた。まあ、増えた分はまた走つて減らせばよい。
おいしくいただいたその足でナツゲーミュージアムへ。呼ばれたから来た訣ではないが、呼ばれたから来た気しかしない。タイトーのアルバム二枚と、「F-1スピリット」改題「MSXレーシングスピリット」のアルバムを購入した。そしてカウンター脇に目を遣ると「ゆうゆのクイズでGo!Go!」が置いてある。先のリツイートされたネタがこのゲームに関する話題だったので、それに絡めてリツイートされた訣らしい。これも縁だと思つてコインを投入。二十五年も前のクイズゲームの問題など、今となつては全部丸ごと懐かしのジャンルに属する様なものだ。それにしてもゆうゆ、眉が太いな。今ゆうゆといつたらボカロPの方になるよな。アイドルもののクイズゲームでもバックに流れるのは紛れもなくズン夕タ節の音楽で、リソースの使ひ方も当時なりにリッチな方だと思ふ。
「Mr.五右衛門」に続いて「スペースハリアー」を遊ぶ。この「スペハリ」はよく見たら自分がツインスティックを自作するのに使つたのと同じレバーを装備してゐて、つまりデジタル操作であるのだが、「大丈夫かいな」と思つたら意外に大丈夫だつた。流石に微妙な操作はできないものの、微妙な操作が要求されるゲームといふ訣でもない。むしろ昔のPCやゲーム機の移植版もこれに準じた操作になつてゐた方が良かつたのかもしれない。さらに「ヴイ・ファイヴ」を遊んだら初めて四面を拝めた。調子が良いとゲームは楽しい。
ナツゲーミュージアムを辞して、浅草まで歩いた。道中のあちこちに新しい店が出来てゐて、東京といふ街の入替りの早さを実感する。浅草でいつもの写真を撮つた後は散髪に。東京を離れてから五回浅草に来て三回散髪してゐる。習ひ性といふのはなかなか変らないものだ。
日も暮れたので她下鉄で浅草橋に移つて投宿。隅田川神田川総武線に囲まれた、如何にも都会の隅つこ然とした立地の古いホテルで、泊る以外に何もなく、カプセルホテルの方が付帯設備的はにずつとマシといふ安宿だ。それでよい。ユニットバスで髪の切り屑を洗ひ流して、一息ついてから総武線に乗つて新宿へ向つた。雨が降り出してゐた。昨日の日記にある秋葉原から御茶ノ水の高架は楽しめたものの神田川から外堀にかけての地形を楽しむには暗すぎた。
新宿駅に着くと同じホームの反対側に見慣れない御座敷車の編成が待機してゐた。「華」といふ名の所謂ジョイフルトレインで、この方面には全然詳しくないから知らなかったが、ホーム上の人も口々に「何これ」と驚いてゐたから珍しい列車ではあるのだらう。何より485系だといふのが驚きだ。ここまで原形を留めないなら新系列にしてもよささうなものだが要は走行装置が何であるかに依るのだらう。待合せた友人と酒を呑みながら近況報告をして別れた。
宿に戻ると隣の部屋が騒がしい。大抵のことには我慢するが、一人が奇声を上げたのには堪り兼ねて壁を叩いて抗議した。とはいへ壁ドンではなく壁コンコン程度である。家を出る際迷つたのだが、耳栓を持つて来るべきだつた。安宿向けの備へを甘く見てゐた。寝ようと思つても全方向から物音がするのには参つたが、酒も入つてゐるので程なく眠りに落ちたのだつた。
などとやけに細かく記録してしまつてゐるのは言ふまでもなく宮脇俊三に当てられてのことなのだ。