昨日やりました。観た作品は次の通り。観賞順。
- 「怪奇大作戦」より「恐怖の電話」
- 「怪奇大作戦」より「京都買います」
- 「ウルトラマン」より「真珠貝防衛指令」
- 「ウルトラマン」より「空の贈り物」
- 「ウルトラマンティガ」より「花」
- 「ウルトラマンティガ」より「夢」
- 「ウルトラセブン」より「狙われた街」
- 「ウルトラマンダイナ」より「怪獣戯曲」
- 「ウルトラマン」より「怪獣墓場」
- 「ウルトラマン」より「故郷は地球」
ぶつ続けで四時間半、ダレることなく楽しめたのは流石といふべきか。
大半は一度は観たことがあるけれども、まとめて観ることで色々と新発見があつて非常に有意義だつた。
この中で「怪奇大作戦」だけは今まで未見。独特のトーンで撮られた絵の緊張感がたまらない。カメラワークの冴へは他のウルトラシリーズ作品をも遥かに凌ぐものがあつた。役者の演技まで計算に入れながら、振つたカメラをピタリと止めてレイアウトをバッチリ決めるなんて、どんな仕事だらう。某監督のユルい撮影現場にしか立会つたことがないので全く想像もつかない。
「恐怖の電話」での桜井浩子の影のある女ぶりはフジ隊員とのギャップが凄いな。
「マン」からはまづ二編、楽しげな奴を。「真珠貝防衛指令」は乱土労馬さんに勧められて観たのだけど、成程実相寺演出の原点にして集大成の趣きが強く出てゐて見応へがあつた。「空の贈り物」といへばお約束てんこ盛りのコミカル編。ガマクジラ→スカイドンは着ぐるみ繋がりで続けてみたのだけどトドメの刺し方まで全く同じで可笑しかつた。
この後「ティガ」の「花」に繋げたのは「空の贈り物」のラストシーンから。たぶん「花」を撮つた時に念頭に置いてゐたのだらうと思はれる。マノン星人とティガの殺陣では突然舞台演出に変り、花吹雪を散らす籠までフレームに入れる等やりたい放題。「招待監督」だから許される暴走ぶりは「夢」でも如何なく発揮されてゐる。こちらは寺田農、嶋田久作、浅野忠信と出演陣も豪華で特に嶋田久作の怪演ぶりに尽きるのだけれど、「怪奇大作戦」を観た後なのであの役は本当なら岸田森に演じさせたかつたのではないかと思つた。くそう、あの世で撮り直してるに違ひない。いつか観てやる。
「セブン」からはこれもお約束。「卓袱台を狭んで坐るダンとメトロン星人」ばかりが取沙汰されるが、あの四畳半アパートに入るところから宇宙船が発進するところまでの一連を観ないと本当の味はひは出てこないな。むしろ「襖を開けたら宇宙船」の照明のコントラストに目眩がする。これはまさしく昭和四十年代の絵だ。後、冒頭の葬式まはりのシーンが異様かつ秀逸すぎる。
「怪獣戯曲」は前衛作家としての監督の趣味が前面に押出されすぎて、エンターテインメント性は薄れてゐる。所々に入る漫画のコマの様な演出も皆さん少し引いてゐた様で、その反応が面白かつた。まあ、白眉はやはりダイナが大地に立つ時の土飛沫だな。後の「ウルトラマンガイア」でスタンダードな演出となつたのが印象深い。もう一つ、クライマックスの戦闘をよく分らないエフェクトで煙に巻いてよく分らない内に決着がつく邪道的な演出は「ウルトラセブン」のペロリンガ星人の回のセルフパロディなのだらう、きつと。
締めは再び「マン」から二編、ただ怪獣を倒せばいいといふものでない話。シーボーズはちやんと「街を壊さない」ところが丁寧。夕景の中で佇む様は流石に絵になつてゐる。脚本も細かいところが凝つてゐて楽しい。
「故郷は地球」は、前半は割と普通(悪く言へば凡庸)だと思つたが、ジャミラの正体が明らかになつてからの悲痛さが、とりわけウルトラ水流に倒れ身を悶へ悶えさせつつ絶命するジャミラの咆哮が心に残る。トドメはイデ隊員の台詞を投げ放しにして一切のフォローを入れずに終劇。当時どんな反響を呼んだのかが気になる。締めくくりにこれといふのは若干後味が悪かつたかもしれない。それにしても、何が凄いつて「ウルトラマン」四本も観て結局一度たりともスペシウム光線を目にしなかつたのが凄い。まあ、残りの二本を観てもそれは変らない訣だが。
他にもまだストックはあつたけれども、ひとまづ十分といへる数の作品をまとめて観られて満足した。何より、どれ一つとして駄作がなかつたのが良かつた。まとめて観ることで「文脈」の様なものがほの見えてくるのが面白いね。
今回はテレビものばかりだつたけれども、映画作品で同じことをやるとまた違つた感想になるかもしれない。しかし「ウルトラQ・ザ・ムービー」と「帝都物語」をいつぺんに観る気力体力は無いな。
ともあれ、お付合ひ下さつた皆様有難うございました。