大和但馬屋日記

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むかしがたりのまちガライへようこそ

PSゼビウス

下の方で普通に攻略めいたこと書いてるけど、ゼビウスはさういふもんぢやないんだよ。何度書いたかもわからないけど何度でも書く。
まだ中坊の頃、塾帰りに途中の文房具屋に寄道してはアップライトの筐体に十円玉を突込んでた。あの頃、そこに並んだゲームは何だつて面白かつたけど、中でもこいつは特別だつた。
今にして思へばモニタのキャリブレーションが狂つてゐたのだらう、全体的に青にコケてぼやけた画面に海と森がよく映えてゐた。メタリックな地上物も青みを帯びたグラデーションで、そこに照準を重ねてブラスターを落した時のオレンジ色のロックオンマークが痺れるほどにカッコ良かつた。
クルクル回る板が飛んで来たと思つたらその下に巨大な青いピラミッドが見えて来た。ブラスターを落したら頂上部分しか破壊できず、残つた台座に怪しく点滅する赤い光がたまらなかつた。周囲には敵らしい敵もなく、その静けさが不気味だつた。
かと思つたら飛行場が見えて来て、空中物の猛攻。高速で飛んでくるチャリチャリ壊せる弾が恐かつた。そして大きな基地が見えて、大体そこでゲームオーバーになるのだつた。あの大きな基地が画面横に貼られたカードにある「アドーア・ギレネス」だらうか。でも全然違ふな。まあいいや。
この時が一番このゲームを楽しんでゐたのだらう、たぶん。大きな基地がただの「ガルデロータ」といふ砲台にすぎないことも、変な板がバキュラといつて二五六発撃込めば破壊できるといふ噂があることも、高速弾にギドスパリオといふ名前が付いてることも、ソルやスペシャルフラッグの存在も全く知らなかつた。所詮子供騙しの文房具屋の筐体で、ザッパーとブラスターがボタン一個にまとめられてゐることもどうでもよかつた。つか、普通にさういふゲームだと思つてた。
あのモニタの中に見た青みがかつた世界は、ほどなく手に入れたファミコン版とも、今この手にあるプレステ版とも、ずいぶん昔に旧友から譲り受けてそのままにしてあるアーケード基板とも違ふ何かだつたのかもしれない。
きつとその通りだつたのだらう、何よりその証拠に、その小さなモニタにはくつきりと「XEVIOS」*1のロゴが輝いてゐた。