大和但馬屋日記

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北條家體驗

父の實家でいつも通り呆けてゐたら、大變なことに氣が付いてしまつたのである。この家、北條さん家によう似とる。

この世界の片隅に」の北條家の建物が右端の納屋部分を除けば平屋なのに對してこちらの家は二階建てなので根本的に異なるといへばさうなのだが、大きな違ひはむしろその程度で、一階部分の基本的な間取りは驚く程よく似てゐる。

後の改装で變つてしまつた部分も多いが、昔は玄關に竈もあつたといふし、その突當りが臺所になつてゐるのも同じ。臺所への上り口が家の出入口を兼ねてゐる北條家と違つて、玄關の土間の左手が家への上り口になつてゐるが、この障子の向うに北條家なら書齊の本棚があるわけだ。

屋内、向つて左の四畳間が北條家なら板の間の書齊、右の六畳間がすずさんの主な居場所だつた大部屋で、右奥の佛壇の位置まで同じ。床の間と押入は竝びが逆である。冩眞を撮つてゐる背後が北條家の茶の間、實際を考へるとかなり狹いが昔の人の體格と生活樣式ならそんなものか。

改めて外觀。縁側の突當りが便所になつてゐる。北條家はここが曲り角になつてゐて便所はそのさらに奥にある。庭の廣さも同程度とみてよからう。北條家は玄關のさらに右に納屋がある。納屋の二階に上る梯子の様な階段に似たものが、この家の四畳間の方にある。
基本的な間取りが同じなので、何といつても人のサイズ感のリアリティがこれまでと段違ひに思ヘる。今まさに縁側に坐つて落し紙を丸めるすずさんの姿が自分の目に映つてゐるのである。
VRともARとも違ふ作品世界への耽溺を思ふ存分樂しんだ。