大和但馬屋日記

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予め分つてゐて尚動揺を禁じ得なかつた

yms-zun2006-09-11

足かけ十六年だ。さうなつて当り前だらう?
勝利者インタビューで吶吶と語る彼の姿に、十六年分の様々な姿が覆い被さつた。
それはスタートやり直しとなる大クラッシュの原因を作つてセナに説教を喰ふ姿であつたり
第二のセナになれると思ふかと訊かれたフジテレビのカメラに向つて「僕はマイクル・シューマッハーだ、他の誰でもない」と生意気に言つてのけた姿であつたり
雨のスパで黄色いバナナノーズに初のチェッカーを受けさせる姿だったり
タンブレロの砂塵に埋れるFW16の脇をかすめる姿だつたり
豪雨の鈴鹿で目に見えぬヒルに猛チャージをかける姿だつたり
アデレードヒルに体当りする姿だつたり
ヘレスでジャックに以下略だつたり
またも雨のスパで水煙の中から三輪走行で出てきた姿だつたり
その直後、クルサードに「殺す気か」と掴みかかる姿だつたり
やはりスパでゾンタを狭んでハッキネンに実に見事にオーバーテイクされる姿であつたり
インテルラゴスの低速セクションで素晴しい四輪ドリフトを決める姿だつたり
鈴鹿で空前のコースレコードを叩き出した瞬間だつたり
琢磨のヘルメットを脱いだグローブではたく姿だつたり
そして何度目にしたか分らない、力強く表彰台でジャンプする姿だつたり。
十六年だ。
F1を欠さず観戦する様になつて、今年でやうやく人生の半分の年月が経つた。その大半に彼の姿があつた。それまでは誰を見てゐただらう。
これからは、誰を見れば良いのだらう。