id:motidukisigeru:20040223に至るまでの望月氏とファウスト氏のやりとりを読んでゐてどうにも歯痒さを感じるのは何故かと考へてみた。
東浩紀氏がどう言つてゐるかはともかく、萌えアニメの消費のされ方とかデータベース化が云々とかシミュラクールとかを論じるならばエヴァより先にウルトラマンと仮面ライダーを軸に子供向け特撮番組の歩んできたあらゆる道程に目を向けるべきだ。さうすれば、「エヴァ以降」とされる諸現象が少なくとも歴史的にみて特段珍しいことではないことは分るはず。エヴァが何らかの特別な力を持つた作品であることは否定しないが、あれを機に時代が変つたかといふとそんなことはない。エヴァを機にあれこれ語りたがる人の数が増えたのは事実だらうが。
昭和末期から平成にかけてのテレビにおける「ウルトラ」「ライダー」空白期に、児童向け雑誌で何が行はれてゐたかを知る人が「ポストモダン」を論じる人の中にゐるだらうか。オレとて詳しく知るわけではないが、たまに機会があつてそれらを開くたびにのけぞつたものだ。データベース消費といふなら、さうしたものにSDガンダムやビックリマン等も併せて論じなくては全く意味がない。当時のメインターゲットとされた子供達はウルトラマンの番組も仮面ライダーの番組も観たことがなく、中核となる物語の存在しないプラモデルや菓子つきのシールに熱中したのだ。ビックリマンのアニメはシールの人気が充分浸透した後に始まつたし,SDガンダムのアニメは昨年初めてオンエアされてゐる*1。しかし、今の三十代にそれらの現象について語れる人は多くない、なぜなら当時それらのターゲット層ではなかつたのだから。だからエヴァが特別に見える。
でも、今のオタク市場を支へてゐたり、「ファウスト」がターゲットに見据ゑてゐたりするのは八十年代後半にさうしたものに囲まれて育つたアダルトチルドレン世代*2ではないのかな。
さらに参考になる話。
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