大和但馬屋日記

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友人のマウス新調話に引張られて調べてゐて知つたContour Mouseといふ物に興味を持ち、自分もも少しまともなマウスを使つてみようと思つたので買つてみた。
興味のポイントは「中ボタンがホイールではない三ボタンマウス」といふ、USBだの光学式だのが普及してからはほぼ絶滅したと思はれる形状である点。売り文句としてCADやCG制作を業とする人に向いてゐるといふのもあつたので、職業柄物は験しといふことで。
で、一週間ほど使つてみてゐるが、これがどうにも、何といふか、扱ひに困る。前に「Arc Mouse」を買つた時に書いた「エルゴノミクスが嫌ひ」といふ偏見を今こそ取除けるかと思つたのだが、逆にますます拍車が掛るといふ残念な結果となりさうだ。
このマウスの基本的な使ひ方は「上から手を載せて押へる様に動かす」といふもので、その通りに使ふ限りはさほど問題ではないのだが、どうしてもマウスを持上げなければならない時に、それができない形状をしてゐるのだ。手の小指側がなだらかに傾斜してゐるために、マウスを握つて持つことが基本的にできない。
更に手前側もなだらかに傾斜してゐるため、普通に持たうとしても手が滑るのだ。あまりに滑るために、使ひ古しの自転車用グローブ(ミタニのエムテック)の指を切落して使ふことにした。エムテックのグリップ力の高さが救ひとなったが、指抜きグローブなんぞを嵌めてゐるために職場では中二病扱ひですよこん畜生。どんな罰ゲームですか。いや自分で選んだ物だけど。
要は普通のマウスを使ふ要領で持上げて使はうとするのが良くないので、なるベく持上げずに使はうとはしてゐるのだが、さうすると今度は感度とか精度といつた、カーソルの動きに関する部分に不満が出る。
横二画面分の広いデスクトップを目一杯使はうとするとカーソルの速度を上げなければならない。しかし持上げなしで二画面をフォローできる速度にするとカーソルが速すぎて細かい作業に向かない。そもそも俺はかなり遅めのカーソルのスピードが好きなのだ。で、ここが一番困るのだが、ドライバがタコなのかセンサーが悪いのか知らないが、マウスカーソルの速度設定を遅めに設定すると、マウスを大きく動かした時にカーソルがその場で引掛かる挙動を示すのだ。
すっげえイライラする。
ていふか、マウスのことであれこれ悩みだしたのつて、Windowsだけなんだよねえ。X68でもMacintoshでもSGIワークステーションでも、マウスでイライラしたことなんてないんだけどな。特にカーソルの挙動なんて部分で「をかしい」と思ふことは、Windowsではこのマウスに限らず今までも何度もあったことだけど、さう思ふこと自体がそもそも「をかしい」。
昔のMacintoshもX68も、マウスカーソルをOSよりも低いレべル(ハードウェア寄り)で動かしてゐるから、OSやアプリケーションがどんな状態にあらうともマウスカーソルだけは常に思ひ通りに動かすことができたのだが、WindowsはOS上のドライバで動かしてゐるから、何かにつけて引掛つたり止まつたりするし、余計な機能をゴテゴテとつけるわりには感覚にフィットすることがない。AT互換機の末裔つて、ことマウス周りに関してはいつまでも最悪だなあと思ふ。基本仕様がなつてないからこそ、好き勝手に訣の分らない「改良」をしなければならないのだ。
タブレットPCを使つてゐる限りは出来の悪いマウスのことなんか忘れてしまへるので良いのだけれど、CG業界がWindowsベースで回つてしまつてゐることについては死ぬまで怨み言を吐き続けることになるのだらう。
とりあへず、Arc Mouseに戻るのが、俺にとつてはー番幸せなのかもしれないな。あれは中ホイールが消耗品でなければ良かつたのだが。寿命が短かすぎるのが最大の缺点。