Xbox360用「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」で使用する為に、セガサターン用「バーチャロン・ツインスティック」を改造する計画を実行に移す。
参考にしたのは2chの裏技・改造板にある「ツインスティック自作」スレと、そこからリンクされてゐるまとめWiki及び各個人サイト。それらを熟読した上で勝算を得たのでいよいよ実行することにした。
作業の基本は、360用コントローラの各入力端子にツインスティックの端子を直結して入力を乗取ること。かうすることでサターン用のスティックを360のコントローラとして認識させることができる。乗取られる側である360用のコントローラとして、有線コントローラを新しく調達した。無線コントローラを使ふ場合バッテリー交換を視野に入れて改造しなくてはならず、それは流石に面倒臭い。有線コントローラは既に一つ所有してゐるが、これはこれで必要な物だし、改造に使ふなら初期ロットのこれよりも現在流通してゐる新型の方が都合が良ささうだと判断した。
プランニング
まづ、実行する上でのプランを脳内でまとめておく。ツインスティックの各入力を360にどうアサインするかが何より重要。「オラタン」のコンフィグは優秀ですべての入力を自由にアサインできるから、「オラタン」にだけ使ふならばどうやつてもいいとも言へるし、最初はさうしようと思つた。デジタル十字キーを左スティック、ABXYを右スティックに見立て、左右スティック押込みをターボ、左右バンパーをトリガーに割当てるのが一番間違ひが少ない筈。しかし、折角だから「ビューティフル塊魂」も遊べる様にしたいと思つて、左右スティックはアナログスティックから取ることにした。結果、次の様に対応させることに。
Xbox360用コントローラ | ツインスティック |
---|---|
Xboxガイドボタン(椎茸) | スタートボタン |
スタートボタン | 新設 |
バックボタン | オミット |
Aボタン | 新設 |
Bボタン | 新設 |
Xボタン | 新設 |
Yボタン | 新設 |
Lボタン | Lトリガー |
Rボタン | Rトリガー |
Lトリガー | オミット |
Rトリガー | オミット |
十字キー | オミット |
Lスティック | Lスティック |
Rスティック | Rスティック |
Lスティック押込み | Lターボ |
Rスティック押込み | Rターボ |
ボイス入出力 | オミット |
スタートボタンとABXYはメニュー操作に必要なので新設しなくてはならない。バックは、まあいいかと。デジタル十字キーは不要、ボイス関係はワイヤレスヘッドセットを使ふのでこれも不要とした。トリガー同士を対応させないのは、360用のトリガーがアナログ入力なので少し面倒なのと、「塊魂」を視野に入れたことでアナログスティック押込みを拾ふ必要があるため。このイメージさへ固めてしまへば後は手を動かすだけといふものだ。
あと、作業の方針として、360用コントローラ上の部品はできるだけ残す方向で。全部剥すと後々面倒さうだ。
Xboxガイドボタン
それでは、作業に取掛るとしよう。まづは電気工作の方から。先のリストの上から順になぞることにする。
最初はXboxガイドボタン、所謂「椎茸ボタン」からだ。
ツインスティックのスタートボタンはサターン本体との接続ケーブルをまとめるメイン基板に接点が直付けされてゐるので、ここに360コントローラの椎茸端子を繋ぐ。半田がつけられるのはメイン基板のICの足くらゐなので、写真の通りに直付けしてみた。
とりあへず最初なので、この状態のまま360コントローラをタブレットPCに繋いでコンパネのゲームコントローラのプロパティで入力を確認する。余談だが、PC用のドライバはWindowsのデフォルトのではなくネット上で配布されてゐるアマチュア製のものを使用。入力のパラメータ変化がモニタリングできるので便利。
で、確認してみたら、ボタンを押してもゐないのに椎茸の入力があることになつてゐる。どうやらサターンではICのロジック処理で入力を管理してゐるらしい。今回欲しいのはボタンの物理的な動作だけなので、ICの足を切落してロジック回路から切離した。
ボタン接点をグニグニして入力のON/OFFを確認。ついでに360に繋いでみて、本体を起動できることを確認した。
スタート/ABXYボタン
デジタルボタンは特に悩むべきところはない。対応する部分に一本づつケーブルを直付けするだけだ。
GND側。新型有線コントローラはデジタル入力のGNDがすべて共通ださうなので、五本を一本に纏めてから基板の一箇所に接続。これが有線コンを新調した理由。旧型だとボタン一つ毎にGNDも別なので少しばかり面倒臭い。
この五組十本のケーブルが下のボタンに繋がればOK。但し繋げるのは最後な。
左右バンパーボタン
ツインスティックからのケーブルを直付けするので後回し。
左右スティック押込みボタン
左右スティックの押込みは機構的には凝つた造りだとしても、電気的には他と同じただのデジタルボタン扱ひである。随つて何も悩むところはない、と思つたら甘かつた。基板上の乗取り点が、Rトリガーのパ一ツの下に隠れてゐるではないか。トリガー用の可変抵抗はそのままにしておきたいのに、どうしよう。
しばし考へて、トリガーのパーツを壊すことにした。可変抵抗は残しつつ、邪魔な部分を撤去。ニッパーでバキバキとパーツを切取つた。
左スティックのボタンと、上下左右軸の入力部が顕になつた。右スティックはトリガーと干渉しないものの、Rバンパーボタンの邪魔になるので結局同様に破壊。両トリガーとも可変抵抗が自由に動く様になつてしまつたので、入力値が0になる位置でホットボンドを使つて固定した。
結線自体はやはり後回し。
左右スティック
ここが一番厄介さうな処。360のアナログスティック入力にツインスティックのデジタルスイッチを対応させなきゃならん。アナログ入力装置はそのまま残すつもりなので、レバーを動かして入力値を調べて見た。X軸、Y軸ともに0をニュートラルとして-32767〜32767の間の値をとるらしい。
それぞれの軸ごとに三本の端子が出てゐるので、真中がGNDだらうと見当をつけ、それと両脇の一方とを直結したらそれぞれの最大値が得られた。ならば上下左右を間違へない様にツインスティックのそれと繋ぐだけで良ささうだ。
ここまでで360用コントローラ側の工作はほぼ終り。続けてツインスティック側の加工に移る。
ツインスティック基板
ツインスティックの、左右それぞれのスティックの根元にマイクロスイッチが直付けされた基板がある。ここから上下左右と、それら共通のGNDの五本のケーブルが伸びてゐる。基板の外周をGNDでグルッと囲んだ設計は合理的で、デジタルボタンを乗取るには最高に好都合だ。しかし今回は生憎アナログスティックを乗取るので、上下と左右でGNDを分ける必要がある。なので、写真の青で囲んだところのパターンを削り取つて、一旦四つのエリアに分けなければならない。続いて、上下同士・左右同士をジャンパ線で結ぶ。
ジャンパ線を裏に回したのは、パターン側には基板を本体に固定する為の固定具が被さるから、それとの干渉を防ぐため。それは良いのだが、ジャンパの取回しをタイトにしすぎた為にネジ穴と干渉してしまつた。一往躱すことはできたから良しとするが、必要もないのにここまでタイトにすることはなかつたな。
以上、電気的な工作はほぼ終了。あとはボタンを嵌めこむ穴を開ける作業が残つてゐる。また明日。
- kim-peace 2009/05/08
- hisamura75 2009/05/05