大和但馬屋日記

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iPhoneでパノラマ写真をうまく撮るコツ

iPhoneアプリにはパノラマ写真の加工を自動で行つてくれるソフトが色々あつて、手軽に遊べる。楽しい。

しかしパノラマ加工された写真をよく見ると、あちこちに継ぎ目が見えてゐて残念な感じだ。金色のビルは折れ曲つてゐるし、首都高の高架も横断歩道の白線も、角度の異なる写真を重ねた様にしか見えない。うんこビルもゴーストが見える。
「まあ、たかがiPhoneアプリだし、カメラの性能も大したことないし、こんなものでしょ?」
いやいやいや。これは写真の撮り方が悪いだけ。どんなに高価なカメラと高度な加工技術を用ゐても、撮り方が悪ければ結果は同じなのですよ。
逆にいへば、たつた一つのことに気をつけるだけでこの問題は解消する。ほら。

左端の街燈だけ破綻してしまつたけれども、他の部分はどうだらう。どこに継ぎ目があるか当ててみてほしい。正直自分でも分らない。
どちらも同じiPhoneで写真を撮り、同じアプリ*1に勝手に処理させただけで、加工に特別な操作は一切行つてゐない。
一枚目が全然繋がつてゐないのは、普通にiPhoneを構へ、身体ごと向きを変へて写真を撮つたから。二枚目は、ある「点」に注意して写真を撮つた。それだけ。

ノーダルポイントを意識して撮影すること

ノーダルポイントの正確な説明はここでは省く。簡単に言ふと「ピンホールカメラの穴の位置」。どんなカメラにもそれに相当する点があつて、それが理論上の「カメラの光学的な中心」になる。この「中心」を軸にカメラを回すと、絶対にブレのないパノラマ写真が撮れるといふことだな。普通の三脚にカメラを固定して回してもこの「中心」は動いてしまふから、パノラマ撮影用にはカメラの固定位置をずらす専用の雲台が売られてゐたりする。
それはさておき、iPhoneでは三脚なんか使へない。ではどうやつて「中心」を意識して撮るか。
iPhoneを縦に持つてカメラを構へた時、カメラのレンズがあるのは右上の角のあたりである。なので、利き手でない方の指先をその角に当てて、その指先を軸としてiPhoneを回しながら写真をパシャパシャ撮るといい。これだけ。
もちろん、自分の身体を大きく動かさないことが前提。もし同伴者が居るなら角を押さへる役になつてもらふと尚良い。
片手で持てるiPhoneだし、レンズが隅つこの方にある御陰で、世の中に数多あるカメラの中でも最も手軽にノーダルポイントを意識した写真が撮れてしまふのかもしれない。先に貼つた二枚目の写真の像の全体的な歪み率は、たぶん理想の球面に近い曲率になつてゐるんぢやないかな。

同じ撮り方で、先日の工事の際にひつくり返した部屋の惨状を撮つておいた。あまり人様に見せるもんでもないが、魚眼レンズで撮つたと言つても嘘にならない程に破綻のない、一律な球面歪みの写真がiPhoneひとつで撮れてしまふことを示すサンプルとしては最高の素材だらう。
い、今は少しは片付いてるんだからね。

  • hisamura75 い、今は少しは片付いてるんだからね。 2009/08/09

*1:AutoStitchを使用した