大和但馬屋日記

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ユーザーから求めるもの

360ユーザーはcommunity gamesでどんなゲームが遊びたいんだろう。

2008-03-05

これは重い問ひかけだなあと、community gamesの配信開始を待つ遊び専門ユーザーの一人として感じた。
これに対して迂闊に「これこれこんな感じで」だとか、「面白ければ何でもいい」と無責任に言ひ放つのも意味がないので、試験的に先行配信されたいくつかについて感じたことを並べてみたい。
以下、各ゲームの紹介文はXbox LIVE Community Games発表、自作ゲームのオンライン配布が可能に - Engadget 日本版よりの引用。

Jelly Car

米国の Walaber 社によって作られたゲームです。ぐにゃぐにゃの自動車がぐにゃぐにゃの世界を走り回って出口を目指します。

マチュア(ではないらしいが)のワンアイデアゲームとしての典型例。ある種の物理演算を軸にゲームとして仕立ててみた、といふもの。
エンジニアリング的には大変面白いことをやつてゐると思ふ。ではゲームとして遊んで面白いかといふと、まあそこをツッコむのは野暮といふものなのだらう。でもそこを何とかできればとも思ふ。プレイヤーとしてみれば操作や挙動がもどかしすぎて、何度もプレイしてタイムアタックするには至らなかつた。かといつてタイムアタックできれば良ゲーといふ評価もどうかとは思ふが、一往それを指向したゲームデザインになつてゐたから。
例へばここから「ロコロコ」みたいなパッケージクオリティに仕上げるまでにはどれほどの労力が必要なのだらうか。アイデアだけで押し通すのは難しいだらうな。

Little Gamers

有名なウェブコミックの「Little Gamers」に基づく 2D サイドスクロール型アクションゲームで、ベルギーの 24 歳になるソフトウェアデベロッパー、ロイック ダンサール (Loic Dansart) 氏が作成しました。

元のウェブコミックが面白ければこのゲームも楽しめるのかもしれないが、全然駄目。
多彩な武器を拾つて使へるのだけが特徴で、しかし何もかもが単調すぎて面白くもなんともない。何も無い所からここまで作るよりも、ここからゲームとして仕上げるまでの方が遥かに難しい筈。ステージナンバーを見ると如何にも「大作のダイジェスト版」と言ひたげだが、こんなものをフルステージ遊ばされても時間の無駄だ。
エンディングのスタッフロールの最後に「AYB」。まあ、所詮はさういふ感性で作られたものよね。

The Dishwasher: Dead Samurai

米国のジェームズ シルヴァ (James Silva) 氏が作った、手に汗を握る 2D アクションゲームで、独特のスタイリッシュなグラフィックスとスピード感溢れるアクションを特徴としています。

完成度でいへば一番の出来。そのままXBLAタイトルとして金取れるレベルだと思ふ。
ゲーム自体は2Dの「DMC」とか「お姉チャンバラ」みたいな、といふか「ガーディアンヒーローズ」そのもの。棒立ちの固い敵をズバズバ斬つて倒して、といふベルトスクロール系アクションによくあるタイプのゲーム。ワシの好みではないが、これがいいといふ人は少なくないだらう。
渋くて暗い画面は格好いいが、暗すぎて何が起きてゐるか分りづらい。
アーケード仕立てのゲームのよく出来た再生産といふ意味で、これも一つの典型例だと思つた。

TriLinea

ブラジルのエディソン S プラタ ジュニア (Edison S.Prata Jr.) 氏、レナート ペリザーリ ダ シルヴァ (Renato Pelizzari da Silva) 氏、およびダヴィ ダ シルヴァ プラタ (Davi da Silva Prata) 氏が作った対戦型の盤上パズル ゲームです。

作つた人の名前を見て「A・セナの親戚か」と思つたが、まあよくある名前なんだらう。
英語の長文を読む気になれなくてルールがよく分らなかつた。ドミノ風にパネルを並べる色合せパズルらしい、としか。ルールが分れば面白いのかもしれない。画面のクオリティは高い。

RocketBall

米国のタイラー ワンラス (Tyler Wanlass) 氏、パトリック ムルティ (Patrick Murty) 氏、およびトッド バロンズ (Todd Barrons) 氏が作ったドッジボール感覚のアクションゲームで、マルチプレイが楽しめます。

ストリートドッヂボール。ルールは分り易いが展開が早すぎて、自分がどのキャラを操作してゐるかが分らなかつた。マルチプレイ前提の画面デザインだからか。
もう少しゲーム全体のスピードを落として、ボールを目視でキャッチできるくらゐなら面白かつたかもしれない。「ぺんぎんくんWARS」視点ならなほ良かつた。調整次第でどうとでもなるレベルだと思ふ。

ProximityHD

米国のブライアン ケーブル (Brian Cable) 氏が作ったこのゲームは、フィールドの支配権を巡る戦略ゲームの要素を持ちつつ、単純かつ明快なルールによってカジュアル プレイヤーにも理解しやすいシンプルなゲームです。

これ、ダウンロードし忘れてたみたいで遊んでない。

Culture

独立系のゲーム開発企業である Hidden Path Entertainment 社が作成した「Culture」は、美しい花々でステージとなる星を綺麗に覆うという独特なゲームです。

グラフィックは抜群に綺麗。ゲーム画面は「塊魂」の王子星そのもので、星を回転させながらボタンを押すとカーソルの軌跡に花が咲く。花の色は時間で変化する。同じ色でエリアを囲むとその中が花で埋まる。星に散在して増殖する枯草を花で囲んで全部消せばクリア。球面クイックスか。
クリアの瞬間、星全体の空いたエリアに花がブワッと咲くのが凄い。360のパワーに任せてる感がいい。これなら「大神」の例のムービーもリアルタイムレンダで出来るんぢやないかと思ふほどだ。
しかしゲームとしては退屈。花が赤い時は枯草を直接潰せる、くらゐしか変化がない。ときどき得点倍率が上がるのもルールがよく分らなかつた。とりあへず花を咲かせたかつただけで、ゲームは後付けで考へたんぢやないかな。
マシンパワーを駆使して実現したいグラフィック表現がある、といふのもひとつの在り方かとは思つた。ジェフ・ミンター作品もさういふ方向かしらん。

以上、取り留めもなく書いてみて

ゲームをひとつひとつについて「あれは面白い」「これは糞」といふことよりも、「ああ、かういふことがしたかつたのね」といふ具合に読み解いていくのが遊ぶ側からのアマチュアゲームへの一つの接し方かなあ、と思つた。もちろんこれは作る側からするとちよつとメタ的で鼻持ちならない態度かもしれない。それこそ「上から目線」とか言はれかねない。
でもまあ、折角統一されたインターフェースの土俵が用意されたのだから、作る側からは「こんなんどうよ?」といふ提案がバンバン投げられて、遊ぶ側はそれに触れてあーだこーだ言ふ、といふこと自体を楽しまない手はない。それがPCの同人ゲームとかFLASHゲームのコミュニティとどう違ふのかは分らないけれど、プラットフォームが一つ増えただけでも良いことだと思ふし、それがXbox Liveのマーケットプレースを通じて手に入るといふのは経路としては送り手としても受け手としても魅力的だらう。「どんなゲームで」といふよりもまづは環境自体を楽しめたらいいな、といふのが一ユーザーからの願望かな。作る側の労力と遊ぶ側の何か言ふ気安さのアンバランスは如何ともし難いけど、これをシステム側でなんとかできなればな。作り手を苦しめたり萎えさせない仕組。
その中から例へばメジャーパッケージが生れたり、メジャーデビューする制作者が居たりといふ様なサクセスストーリーは、後からついてくるものだと思ふし。
といふか、今月頭の花やしきに行つておけばよかつたと、これは本当に後悔してゐる。

  • 2008年03月13日 brainparasite ゲーム