大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

なんで業界語りが詰らないか

ここ半年といふか一年以上、ネット上でみかけるビデオゲームに関する一番熱い話題といへば「次世代ゲーム機で勝つのはどれか」だつたり「今後の業界は云々」だつたりするけれども、まあ、どれもこれも詰らんといふか下らんといふか。
何故さう思つてしまふのかと考へてみるに、まづ現状認識として「ニンテンドーDSの独り勝ち状態」を見て皆ものを言つてる訣だ。では二年前の今頃、DSのといふか業界の現状を予見し得た人間が居るのかどうか。発売日にDSを衝動的に買ひ、すぐに必要(?)に迫られて二台目を買つたワシはそれでもDSがここまで普及するとは思ひもしなかつた。「そんなに売れないだらうし、もしかしたらPSPの方が売れるんぢやないの? 自分は今PSPは欲しくないからDSを買ふけどね」と思つてたし、同様に考へた人は少なくなからう。ましてPS2をも追ひ込むとまで誰が予想し得たか?
まあ、現状は皆が見て知つてる通りで、未だにDSの入手は容易といふには程遠い状態だし、恐らく今年いつぱいはこの状況が続きさうだ、くらゐのことは言へる。夏の後に秋が来て冬が来ることを予測といへるなら、それと同程度にはね。
でもさ、今任天堂が大勝ちしてることなんてそれこそ「今の天気は晴れてますねえ」といふのと同じ現状の追認にすぎんわけだ。そんなの誰でも見れば分る。でも、どれだけ過去のデータの蓄積があらうと、一箇月後の天気を予測することはできない。そんなことばかり真剣に取り沙汰する気象予報士が居たとして、それを信頼できるだらうか。できる訣がない。
今のゲーム業界の状況をDS発売前に予測し得た人が居るなら教へてほしいものだ。別に未来予測をできることだけが正しいとは思つちやゐないが、さういふ人が居ることを願はずには居られないくらゐ、業界予測なんて空しく詰らないこととしか思へない。「自分は現状をこれだけ深く正しく読めてますよ」と暗にアピールしてゐるものほど、それを目にした時により強く思ふのだ。成程ご尤も、ところで二年前はどうお考へでしたか、と。
「今の状況を誰も予想し得なかつた」とエクスキューズを置くのが許されるならば、これから先に起ることにだつて常に同じことが言へるだらうに。