大和但馬屋日記

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2004-07-27

[][][]ドイツGP総括

キミのアクシデントとタイヤトラブル多発

キミのアクシデント

マイケルが地元ドイツで久しぶりの勝利、いつも通りの圧勝ではあったがやはり十四周目のライコネンのアクシデントに救われた感は否めない。そう思わせるくらいキミは速かった。しかしこういう場面でアクシデントに見舞われてしまうというキミの、というかマクラーレンの宿痾は未だ解消されていないとも言える。

ライコネンのアクシデントを改めて映像で見ると、風圧でメインフラップ部分がググッとへし折られ、吹き飛ぶと同時に連結された水平翼部(左側矢印)も引きちぎられた感じである。だから翼端板には水平翼部の付け根が左右両方とも残っている。フラップの方はおそらく角度調整のために可動式の付け根になっているはずだから、その部分が何らかの理由で折れてしまったに違いない。何にしても、大した事にならなかった様で良かった‥‥とはラルフの件もあるから軽々しくは言えないけれど、とりあえず。

このような大きな事故以外にもアクシデントは散見された。フォーメーションラップでのパニスのエンスト、これはモナコでも同じ事が起きていて、トヨタには同じ事の繰返しは避けてほしいところ。

そしてタイヤバーストが三件。「意外にタイヤがもった」とはCS解説者の森脇氏をはじめ各報道メディアの一致した見解の様だが、そう言って良かったのかどうか。温度的にはBS浜島氏も「予想の範囲内の最低レベルだった」と言っているが、そのBSユーザーのハイドフェルトはバーストでリタイア、バリチェッロも終盤スローパンクチャーに悩まされフィニッシュと同時にバースト。バリチェッロが悔しそうにタイヤに蹴りを入れていたのが印象的だ。今季初めてポイントを逃したのだから無理もない。

中盤のトゥルーリ×琢磨×ウェバーの三台のバトルでは、三台ともに左フロントタイヤにブリスターらしきものが見られた。一時的なものだったかもしれないがトゥルーリアロンソも異常なペースダウンがあった。やはりタイヤには厳しいレースだったと見るのが妥当だろう。

BARのツッコミどころ

今回見せ場を沢山用意してくれたのはBARの両ドライバーだったが、レース中はそれを面白がっていればよかったとしても冷静に考えてみればあれではマズい。あれだけバトルが見られたのは当然マシンが速かったからで、もう一つ言えばマシンが速いのに後方からのスタートを余儀なくされたからだ。バトンの十番手降格は仕方ないとはいえ、フリー走行ではデビッドソンにもエンジントラブルが出た。琢磨に出なかったのは運が良かっただけだ。その琢磨はといえば土曜午前のスピンのためにフリー走行を完全に棒に振り、予選九位という有様。

かてて加えて、金曜日にテスト投入した「フロントトルクトランスファーシステム」なる新サスペンションがFIAから「レースに使えば失格にならないとはいえない」と通達を受けて使えなくなり、金曜一日を棒に振ったとか。‥‥なんでそういうことを、デビッドソン以外のドライバーでやっちゃうかなあ。開発を進めることはもちろん必要だけど、それが手戻りにならない工夫も同じくらい必要だろう。

琢磨はレース中に一度か二度はスピンなりコースアウトなりがあるものと諦めて、その分のマージンを十秒くらい確保するしかないと思う。無茶を承知で言えばマイケルが二、三回スピンしたって順位にはほとんど影響が無いわけで、そういう位置にいるのが一番だ。‥‥それが無理ならミスはしないでお願い。自分よりも後ろからスタートしたチームメイトが表彰台に上がってしまってるという事実は、もちろん本人も分っているだろうけどやっぱり痛い。

要するにチームにしてもドライバーにしてもマージンがない。今回のバトンの様な走りに応えられる体制づくりを。力は充分にあるのだから。バトンに纏わるピットワークは上手くいったというけれど、何度も同じライバルとバトルをさせてはやっぱりいけないと思う。

バトンのヘルメットとか琢磨のHANSのことはまあ仕方ないけれど、今宮氏みたいなことを言うとなんかそういう不運を呼び寄せる流れにはまってるのかもよ。

トゥルーリ

何となく、ティエリー・ブーツェンという人のことを思い出しちゃったよ。このままブーツェンと同じ様な末路を辿りそうな気がするので、トヨタには行っちゃダメだと思う。かといって他に適当な受け入れ先があるかというと‥‥うーん。

その他

モントヤはブレーキトラブル、相変らずツキがない。ピッツォニアは結果だけ見ればジェネよりはマシかとも思えるが、じゃあ今回ジェネが出ていたらどうだろうと考えると大差ない気もする。いずれにしても一台のマシンで乗り換えられる規定人数を使い切ってしまったから、もうラルフを含めてこの三人でやり繰りするしかない。メインの両ドライバーともすでに心はここにあらずだろうから、ウィリアムズの今季はマシンの速さなりのポイントを幾つか拾うだけで見るべきものはなさそうだな。

ザウバー。前回の速さは何だったの、と思うほど今回はいつも通りだった。そろそろ作戦変えた方がよいのではないかな。

とまあ、絵面的には面白かったけれどいろいろなチームとドライバーに課題山積み、問題なかったのはフェラーリというかマイケル一人だけという真夏の決戦に相応しいレースでありました。