大和但馬屋日記

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夢は現実の上に

yms-zun2007-04-17

ゲームのセーブデータを何バイト、イベントが幾つでそれに要するデータ量が何ビット、ハードのスペック上の制限は何MBだからあれはできるけどこれは無理云々といふ現実的な話を延々すると、もしかしたらまた「夢のない話を」と怒られてしまふかもしれない。でも、ちよつと待つてほしい。←
ここはむしろ、「たつたそれだけの量のデータからあれほど多彩な体験をさせてくれた」と感心するところだと思ふのだ。「不思議のダンジョン」然り、「おいでよどうぶつの森」然り。何れも、ゲーム内で得られる「体験」の総量ときたら、保存に要するデータ量との比で言へば無限大にも等しい。演算速度やポリゴンの描画能力やメディア容量やメモリ容量がどんなに凄くたつて、作り手がプレイヤーに「何を体験させるか」の発想がなくてはあれらのゲームは作れやしないのだ。
ドルアーガの塔」のマップデータの大きさはたつたの六十バイト、つまり一フロアあたり一バイトだといふ。それはマップデータですらない、「フロア番号そのもの」で、フロアの数字をシードにした乱数から各フロアの固定マップを生成してゐるのだと。これを聞いてがつかりするか、夢を膨ませられるか。
もちろん「TDU」みたいにデータ量とマシンパワー任せに得られる「体験」もある。でもそれも結局、作り手の「何を体験させるか」の発想が素晴しいから実現出来てゐることに違ひはないと思ふ。
小恥かしい表現を敢てとるならば、現実は夢を運ぶプラットフォームだ。

  • 2007年04月17日 DocSeri 遊戯 セーブ領域用のメモリってNDSの仕様上で容量固定なんだろうか。FC/SCF時代はかなり内部設計を弄れたようだったけど。

ドルアーガの塔」のマップ生成法について検索してきた人へ。

587 名前:遠藤雅伸 投稿日: 2001/03/28(水) 03:10 ID:???
S> マップが違うのはある程度あきらめてたけど。

 これは画期的なことかも知れないんだけれど、TODは1フロアにつき
 マップのデータを1バイトしか持っていません。つまり、プログラム的には
 マップという概念がないんですね。ちょっと難しいのですが、説明します。
 TODの迷路は、まず全ての柱を想定します。そして、最初の1本を選び、
 そこから面数を根とした乱数によって、0〜3の数を導き出し、
 それに相当する方向(ex.0:上、1:右、2:下、3:左)に壁を作ります。
 それが外壁か別の壁に接触しなければ、新しい根より0〜2の乱数をもとめ、
 そちら方向(ex.0:進行方向左、1:まっすぐ、2:進行方向右)へ壁を伸ばします。
 これを外壁か別の壁に接触するまで続けます。
 もし外壁か別の壁に接触した場合、最初に選んだ柱から順番に、
 まだ壁の通過していない柱を選んで同じ処理を繰り返します。
 壁の通過していない柱がなくなると迷路の完成、結果として、
 迷路のある地点Aから別の地点Bまで1通りしかルートのない、
 狭義の意味での迷路ができるのです。
 このフロアを元にした乱数の根を255にすると、なぜか整然とした
 迷路になってしまったので、これを特別に最上階60階の迷路用の根として、
 残りはフロア数がそのまま迷路のデータとなっているのです。
 あのフロア全てをデータで持つと大変なのですが、
 このような方式で作成しているため、全く同じ方法を取ったとしても、
 迷路のサイズが異なれば構造が違ってしまうわけです。遠藤としては、
 最上階以外のフロアの形状に関しては、まったく関心がなかったので、
 移植が同じ方法で迷路を生成しているのは、かえって新鮮で良いのでは?と思いました。

現実の自由度

  • 2007年04月17日 DocSeri 遊戯 セーブ領域用のメモリってNDSの仕様上で容量固定なんだろうか。FC/SCF時代はかなり内部設計を弄れたようだったけど。
はてなブックマーク - 2007-04-17 - 大和但馬屋日記

前にも書いた通りで、「固定」ではありませんが、選択肢はそれほど多くないでせう。FC時代の様に中身がスカスカのカートリッジな訣でもないのは見れば分る通りですし、それを除いても時代が下るほどカートリッジ内部の拡張の「自由度」は下つてゐます。ハードウェア自体のスペックが向上して、大抵のことはソフトウェアで実現できる時代になつたのだから当然だと言へませう。といふか、時代の主流はゲーム側で機能拡張できないディスクメディアなのだし。
狂牛病騒動以前の吉野家商法ではありませんが、放埓なカスタマイズを許さないことでDS用ゲームカード全体の生産効率を上げてコストダウンを図られてゐるだらうことを考へても、選べるメニューは精々「並盛・大盛・特盛・味噌汁付」云々といつた程度のものとみて強ち外れてはゐません。念の為付加へておくと、DS用ゲームカードの生産はどのソフトメーカーの製品もすべて任天堂が一元的に行つてゐます。
で、セーブ用のチップについて何かいい資料はないかと探してみたら、こんな記事を見つけられました。

上記に始まる一連の記事の中に、記事主の方が自分で解析されたといふ主だつたソフトウェアで使用されてゐるセーブ用チップの一覧が示されてゐます。
このリストにある範囲では六種類、大まかに512kビット以下のものがEEPROMと呼ばれるGBAなどと同等の書込み可能なROMであり、2Mビット以上のものがフラッシュメモリです。これをみると大抵のゲームはEEPROMの64kビット(8kB)で事足りることが分りますし、またセーブデータの蓄積がゲームの肝になるタイトルにはフラッシュメモリが使はれてゐることが分ります。「大は小を兼ねる」といふ訣にいかないのは、やはりチップの種類によつて製造コストに大きな壁があるものとみて良ささうです。あと、読書きの速度や書込み回数の上限(物理的にメモリが破壊される上限)の点でフラッシュメモリはEEPROMに比べて大幅に劣るといふ話を別のところで聞きました。
仮に2Mビットのフラッシュメモリを採用したとして、セーブデータを二重化したら一つのセーブデータに使へるのは最大でも128kバイト。昨日挙げてみた要素を保存するだけなら十分に潤沢な容量である気もしますが、さて実際はどうでせうか。こればかりは大事なソフトを分解してみないと何とも。
将来の話をすれば、ゲーム本体のROM・セーブ用メモリ共に高性能なものに更新されることは間違ひないでせうが、それを決めるのはあくまで任天堂ファミコン時代のコナミの様に好きな様にカスタマイズしたカートリッジがサードパーティから出てくる可能性は、まづ考へられないと断言しても間違ひではないと思はれます。

TDUの警察無線

英語のヒアリング能力なんざさつぱりなワシの耳でもはつきり聞き取れる警察無線の「10-60, and10-1(ten-sixty, and ten-one)」といふ台詞。警察が警戒態勢を解除しようとする間際に聞こえてくるアレはどういふ意味かと調べてみた。これつてあれよな、「緊急指令10-4・10-10」と同じ10コードだよな。で、調べたらこんなん出てきた。

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これに照らして意訳すると「付近の分隊に告ぐ。任務遂行不能、場所を移動する」てな感じか。「Unable to copy」てさういふことよね。もつと砕いていふなら「奴を取り逃がした、場所を移動する」にでもならうか。
日本語版ではかういふ音声がどうなるのかが少し気になる。気が付けば来週発売。買つても良いかと思つたけどたぶん買はない、ちよつと余裕がない。
余談だけどwikipediaの「10-4・10-10」の解説はこのリストに照らすと間違つてる気がするよ。「fight in progress」は「通信終了」になるか? まあ、慣用句としてはさういふもんなのかもしれないけど。
この話題の続き→id:yms-zun:20070418#kotenko