大和但馬屋日記

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センシャラウンドのできるまで

朝からイオンシネマ名古屋茶屋で「ガールズ&パンツァー最終章第一話聽き比ベ上映囘」を觀賞した。まづは從來の5.1chでー囘上映し、岩浪美和音響監督御自らによる9.1chアップミックス作業を行つてからそちらで再度上映するといふイベントだ。
調整方法は先づピンクノイズを流して全スピーカーの定位を確認し、個々の音量を調節。少し左寄りの席に居たからか、自分の聽覺の問題か、右側のノイズの周波數*1が僅かに低く感じたので氣になる。認めたくはないが、加齢といふ名のローパスフィルターが順調に備はりつつあるのだらう。寂しいことだ。
ノイズを使つた調整の後は、定位の最終確認の爲にサブウーファーをリファレンス値に設定して、映像ソースでチュック。最終章第一話冒頭の戰車戰シーンを使つて想定通りの方向から音が鳴るかを確認する。このシーンはいきなり主觀視點で始まつて、左右からの砲撃とヒット音が全域で鳴りまくり、上方からは橋の構造物が軋み音を立てる。まるでサラウンドチェックの爲に作つた樣なシーンである。派手なシーンの次はキャラクターボイスでの確認。生徒會業務引繼ぎのシーンを使つて左右後方の會話を、そして潜入ビデオの後の秋山殿の聲で眞後ろのスピーカーの確認。
定位が決つたところで「ぢやあ、皆大好きな爆音仕樣にしませうか」。一同笑。少しウーファーのレべルを上げて、クライマックスの砲撃戰を流す。繪的には冒頭シーンと全く同じだが、敢へてこちらを使つたのはたぶん冒頭では音量を絞つてあるからだと思ふ。同じシーンでもクライマックスではフルレンジで流してゐる筈だ。
一通り激しい部分を流して監督が曰く、「まだ行けさうですね。(オペレーターさん)ウーファーを+2してもらへますか?」。再度砲撃戰。「(支配人さん)どうでした?」外で音漏れを確認してゐた支配人が一言「ダメです」。爆笑。振動が強すぎて周囲の箱の觀買の妨げになると。「仕方ないからちよつとだけ絞りますね」と言つて調整してから再確認。外の支配人から兩手で〇のサイン。「ではこの設定で保存して下さい」と言つて調整は完了した。多分、無理矢理「よし」と言はされた感じなのでこれでも傍迷惑なレベルなのだと思ふ。「あとは苦情が來たら適宜對應して下さい。いつまでこの設定でできるかわからないので、皆さんも周りの人に來るなら早めにした方がいいと言つておいてね」と言ひ置いて、音響監督による調整イべントは終了した。
引續き新たな設定による「9.1chセンシャラウンド名古屋茶屋MIX」と称してフル尺での上映が始まる。改めて見直せば、最初の5.1ch版は何だつたのかと思ふばかり。あれは他所の小さい箱で觀た時よりも惡かつたと思ふ。箱の大きさに音が負けてボンヤリしてゐた感じ。大きい箱にはそれに見合つた音量が必要なのだきつと。
9.1chになつて意外に面白いと思つたのは學園艦深層へ降りて行くところ。階層毎に異なる空間を感じ取れる樣、それぞれに見合つた環境音が設定されてゐる。こちらもイベントの後で音への感度が高まつてゐるから普段なら氣付かない樣なその手の變化をはつきり捉へることができたのは面白い經驗だつた。

*1:いはゆる音程