Thinkpad Tablet 2の液晶漏れの範囲が擴がつてきて、そろそろ「氣になる」を通り越して「使ひにくい」にステップアップしてきたので、これが「使へない」になる前にSurface Pro 4を注文して届いた。起動してマイクロソフトのアカウントを入力したら、デスクトップが最初からTPT2と同じ壁紙になつて表示された。
クラウドつて怖いな。ともあれセットアップに追はれる週末だつた。
それはそれとしてスペインGP。開幕後の遠征が一通り終つて、第二の開幕戰とも言はれるヨーロッパラウンドの緒戦。マシンのアップデートは當然として、今年は運營の主體が代つたといふことでイベントの運營自體に少しづつ手が入つたグランプリといふことになつた。それを端的に表すと、「サーキットで觀戦する價値を高める」といふことにならうか。これについてちよつと象徴的な出來事があつたが、それはさておき今日のところはレースの流れを覺え書き。
スタートでベッテルがポールのハミルトンを抑へて首位に立ち、ライコネンとフェルスタッペンもハミルトンに竝びかけるが一・二コーナーで外に出て絡んでしまふ。ライコネンはサスを損傷してリタイア。フェルスタッペンもリタイア、マッサとアロンソも接觸してマッサにダメージ。
十五周目にベッテルが先に動いて三回ストップを匂はせる。ハミルトンは二十二周目まで引張つた。ベッテルから二十五秒以内をキープできれば勝機はある計算となる。ボッタスがベッテルを巧くブロックしてハミルトンを援護する。二十五周目にやうやくベッテルが前に出たが、ハミルトンにしてみれば大きなボーナスを貰へた。
ミディアムタイヤのラップタイムがソフトタイヤに較ベて遜色ないため、三囘ストップを行ふ旨味がなくなつてしまつた。さうなるとベッテルは戰略的に不利に立たされたことになる。そこへマッサとバンドーンの事故に起因するバーチャルセーフティカーが導入され、タイヤの壽命を概念的に延ばせるのでベッテルには助けとなつた。そのVSCが解除される直前にハミルトンが二囘目のピットイン。これがよく解らない。ピットに入るならもう少し前の方がよくなかつたか。あるいはベッテルより後にするか。
しかし次の周でベッテルがピットイン。アンダーカットを狙つたハミルトンが先に一コーナーに入るがベッテルがインに捻じ込んできたため外に追ひやられ、前に出ることはできなかつた。これを狙つたのだとしたらVSC解除と同時のピットインは戰術的には正解、しかし前に立てなかつたことで殘りタイヤの壽命でベッテルより不利になつたので戦略的には失敗してしまつた。高度な作戰を下敷にしてドライバー同士がバトルで互ひの前に出ようとしてゐる、最高のレースだ。
ミディアムのベッテルに對し、ソフトのハミルトンは勿論ペースで勝るのでベッテルを追ひ囘す。そしてDRSを使つて前に出て首位を奪つた。但しハミルトンはもう一囘タイヤを換へなくてはならないので一周あたり一秒の差をつける必要がある。ベッテルのペースはそこまで惡くない。ハミルトン不利か。
しかしハミルトンは三囘目のピットインを行はず、ベッテルの追撃を振り切つて首位でチェッカーを受けた。兩者の差は三秒差、三位リキアルドに七十五秒差をつけて四位以下は全て周囘遅れといふ、實にハイレべルなトップ爭ひのレースだつた。
ベッテルにしてみれば、どこかで失敗した訣ではないし、速さもあつたし、スタートで勝てた筈なのに何故か負けたといふところだらう。細かいところでハミルトンに味方する要素はあつても、一つ一つは決定的ではなかつた。強いていへば、ハミルトンにとつてのボッタスの樣に自分を助けてくれる味方がベッテルには居なかつたといふことにならうか。ライコネンのスタート直後のリタイアこそがベッテルの敗因だつたといへさうだ。
いや、實に面白かつた。コースで見れば尚面白かつたらう。最初にしかけたその話については、また後日。