大和但馬屋日記

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オーストラリアGP決勝

DRSとKERSの表示付きのバトル映像は無駄に面白いな。ゲーム的といふか、バトル物のアニメ的な意味で。そのバトル、マッサがバトンを抑へこむ。バトンは何周もフラストレーションを溜めこんだ挙句にアロンソからも追ひ立てられて、ショートカットでマッサをパス。おいおい。その後フェラーリ勢はピットイン、これでコース上の順位修復は不可能となり、バトンにはドライブスルーのペナルティが科されることとなつた。これはマクラーレン、下手こいたなあ。速いマシン作るだけが能では駄目ですぜ。
妙に速くてイケイケなルビーニョ、小林を抜いた後にニコに対して無謀すぎる突込みを敢行。オンラインのゲームぢやないんだから。いくらなんでもあれは無理だ。小林は労せず順位を二つ上げたが、その後KERSとDRSのお手本の様な使ひ方でバトンに抜かれる。むう。この玩具はオーバーテイクは増えるものの、やられる方はやられ放しになるな。
しかし瞠目すべきはペトロフの速さよ。タイヤ交換の回数にもよるとはいへ、レース中盤で三番手走行。ペースもそんなに悪くない。中団勢の速い方ではなく、上位勢に相応しいタイムを出してるもんな。これは素晴しいよ。
うわ、ハミルトンのフロアが落ちてゐる。こんなの直せるのか? といふか、ハミルトンは路面にフロアを擦つたままそのままそこそこのタイムを出し続けてゐる。オレンジボール旗*1が振られない限り走り切るつもりか。ジル・ヴィルヌーヴかよ。てか、空力つて何だつけ。三十八周目にピットインするも、タイヤ以外何も弄らず。いいんだけど、後の車検で引掛らないかねこれ。最低地上高の規定に抵触しさうな気が。
終盤になつてフェラーリがファステストを出す様になつてきた。「レースでは速いよ」といふのは嘘ではなかつたか。まあ先頭さんはクルージングに入つてるわけだが。それにしてもアロンソの走りは実に見応へがあつた。流石と舌を巻くほかない。
残り三周、表彰台をかけてペトロフアロンソが追ふ。これは面白い。そして凌ぎきつた。ロシア人初のF1表彰台、ルノーの女性クルーが病院で観てゐるであらうクビサに「ロベルト、帰つておいで」と手書きのメッセージをカメラに向けた。本当に、この場に居ないなんて考へられない。驚きは、小林の前にチームメイト、F1ドライバーとして久しぶりのメキシコ人であるセルジオ・ペレスが入賞したこと。完走した中で唯一となる一回ストップ作戦はザウバーらしい奇襲攻撃だが、見事にデビューレースでそれを成遂げたのは賞賛に値する。ザウバーはいいマシンを作つたね。他のチームがピレリタイヤに振回されてゐる内にポイントを稼いでおけば、面白いシーズンになるだらう。楽しいレースだつた。

Saubers disqualified over technical infringement な、何だと!?

テクニカルレギュレーション部分を引用。

Article 3.10.1

"Any bodywork more than 150mm behind the rear wheel centre line which is between 150mm and 730mm above the reference plane, and between 75mm and 355mm from the car centre line, must lie in an area when viewed from the side of the car that is situated between 150mm and 350mm behind the rear wheel centre line and between 300mm and 400mm above the reference plane. When viewed from the side of the car no longitudinal cross section may have more than one section in this area.

後輪の中心軸より150mm以上後方、基準面(地面)の上方150mm〜730mm、かつ車体中心線から75mm〜355mmの範囲に存在する全てのボディワークは、車を真横から見て、後輪中心軸の後方150mm〜350mm、基準面上300mm〜400mmの範囲に収まらなくてはならない。車を真横から見た時に、長さ方向の断面はこの範囲のエリア内で複数に分割されてはならない。

"Furthermore, no part of this section in contact with the external air stream may have a local concave radius of curvature smaller than 100mm.

また、このセクションのいかなる部分も、曲率半径が100mmよりも小さい局所的な凹面を外気流に接触させてはならない。

"Once this section is defined, 'gurney' type trim tabs may be fitted to the trailing edge. When measured in any longitudinal cross section no dimension of any such trim tab may exceed 20mm."

この定義のセクションにおいて、所謂「ガーニーフラップ」型のトリムタブを後縁に取付けてもよい。その様なタブは車体の長さ方向の断面のどの部分で計測しても20mmを超えてはならない。

Article 3.10.2

"Other than the bodywork defined in Article 3.10.9, any bodywork behind a point lying 50mm forward of the rear wheel centre line which is more than 730mm above the reference plane, and less than 355mm from the car centre line, must lie in an area when viewed from the side of the car that is situated between the rear wheel centre line and a point 350mm behind it."

Article 3.10.9で定義された以外のボディワークにおいて、後輪中心軸の前方50mmの点より後ろ、基準面上730mm以上、車体中心線から355mmまでの範囲に存在するあらゆるボディワークは、車を真横から見て後輪中心軸とそこから350mm後方までの範囲に収まらなくてはならない。

Saubers disqualified over technical infringement

翻訳俺。前文方式。
なんか色々面倒臭いが、Article 3.10.1はリアウイング下側(ロアー)、Article 3.10.2はリアウイング上側(アッパー)のエレメントを定義してゐて、ロアーウイングが一枚構造でなくてはならないこと、アッパーウイングが定義された空間内に収まつてゐなければならないこと等を定義してゐる様だ。要はここに抵触してゐる、と。
そんなのレース前に分るだらうに、ザウバーが二台とも失格とは、トホホのホ。
つーか「いはゆるガーニータイプの」とかレギュレーションとしてどうなの。それでいいならもつと簡単にできるだらう、この条文は。

*1:カニカルトラブルによる危険を知らせる黒地に橙色の円の旗