大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

物の値段

らへんに散見される、「ボッタクリ」「暴利」あたりは完全に的外れだ、といふ話。

この自作スティックは、昨日発表されたツインスティックEXとほぼ同じパーツ、同じ部品点数で構成されてゐる。これの原価を改めて検証してみよう。

部品名 単価(円) 数量 小計(円) 備考
ジョイスティックJLJ-PL2-8V 8500 2 17000
⌀24ボタン 140 7 980
アルミケース 2800 1 2800 ※うろ覚え
Xbox360用コントローラ 3000 1 3000 Amazon価格
合計     23780

これにネジ類やリード線や絶縁被覆等々を加へて概ね二万五千円といふところか。ツインスティックEXの税抜28,570円といふ価格と殆ど違はない。
「それは一人で材料を集めて作つたからだらう、部品の卸しの原価なんてもつと安いはずだ」? そんなことはないだらうと思ふよ。
まづ、今回採用されたスティック自体が元々業務用パーツであり、大量生産によりこれ以上安価に卸される様なものでもないこと。もちろん三和とホリのお付合ひによつてある程度仕入値は下がるかもしれないが、プレオーダー制で多く見積つても二千台売れればいいところの製品の為にそんなにバカ安にはなるまい。
安くなるとすれば360用コントローラの部分。これは別の製品の小売価格そのままだから、もちろんこんなには掛らない。MSへのライセンス料とか基板の設計・生産に掛る分も含めて概ね1000円くらゐとみておかう。ケースは自社製品の流用だからちよつと見当がつかないけど、頑丈さを考へたら上のアルミケースより安いといふことは有得ない。残りの部品単価を一割引きとしても、やはり二万円は下るまい。
その他設計・製作の諸費用を考へたら、たぶん大した儲けにはならない。仮に一台千円の儲けとして二千台なら二百万円。企業のプロダクトとしてそれはどうなの? といふレベル。儲けがその倍としても、新たに金型ひとつ起せないよね。よつてセガ製オリジナルグリップといふ線も有得ない。三和のグリップの出来はたしかに良くはないけれど、一番安価で短期間にできる方法といつたら、今回のやり方しかないんだよ。
たとへば二万本くらゐ出荷できる見込のある商品だつたら、完全新作で八千円台などといふ「常識的」なものになつたかもしれない。でもさ、そんなに売れる訣ないぢやん。
要は、今回のセガの行動は「自作できない人の為を思つてわざわざ自作スティックの制作を肩代りしようとしてくれてゐる」以上のものではない訣よ。例へばワシが上の材料で同じことやるよ? と言つてるのと変らない。それを、どこぞの馬の骨でなくプロがやつてくれるつてだけのこと。これが暴利だつてんなら製造業はボランティアでやるしかなくなるね。
もちろん、単純に「三万円が高価い」といふのは解る。でも、これをボッタクリなどといふのだけは認められない。

その他想定問答

そもそもなんで三和なの? セイミツレバーなら二本でも4000円なのに
セイミツのレバーにはグリップが付いていません。セイミツのパーツを採用する場合、グリップをどこかから調達する必要があります。
DC版のツインスティックはセイミツレバーらしいし、セガにグリップくらゐあるだらう
あればわざわざ三和製品を選択する訣ないでせう?
ちよつと別の話になりますが、数年前に名高いサターン用コントローラを復刻したPC用USBゲームパッドセガから発売されましたが、これは当時のサターンパッドの金型も図面も存在しないため、一から作り直した完全新作だつたさうです。このことから考へても、DC用ツインスティックのパーツが再度の商品化に耐へるレベルで残つてゐる筈がありません。
高価な業務用のパーツなんか使はなくていいのに
むしろ業務用のパーツが流通してゐるから実現できたのでせう。「オラタン」のためにスティックを一から作るなんていふ一大プロジェクトはDC版を出した時点で完了してる訣ですよ。十年前のゲームの移植版にすぎないDL専用タイトルのためにスティックを出すこと自体が奇跡。他に例があるなら教へて欲しいものです。

云々。全部一個人の想像にすぎないけど、中らずとも遠からずではあるだらう。

なんてことを言つてたら状況は想像以上に斜め上だつた訣だが、それはそれこそ「嬉しい誤算」といふやつだ。→id:yms-zun:20090630

  • yowa Game オラタン専用コントローラの話。 2009/06/19
  • rerasiu2 ついでに言うと金型は持っていると資産扱いされて税金掛かるとか聞いたことあるのでなおさら残ってないんでしょうね<DC時代のグリップ金型 2009/06/14