大和但馬屋日記

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全方位シューティング考

サンダーフォース」は八方向スクロールシューティングだつたから面白かつたとは信じて疑はないが、八方向(あるいは全方位)スクロールシューティングが全て面白いとは思はない。でも、ワシにとつて好きな作品は結構多い気もする。しかし日本のゲーム史において全方位シューティングは存在そのものが異端であり、ジャンルの成熟を見る前に滅んでしまつた。「サンダーフォースII」から「III」への変質こそがまさに滅びの瞬間だつたのだらう。
全方位シューティングを大別すると二種類あることに気付く。「ドラクエマップ式にループするマップ構造で自機が常にいづれかの方向に移動を続け、停止できないタイプ」と「固定画面あるいは固定構造の広いマップを持ち、レバー入力の間だけ自機が動くタイプ」だ。日本では全方位シューティングといふとほぼ前者だけを指す。「ボスコニアン」「タイムパイロット」「タイムパイロット'84」「ヴァンガードII」「サンダーフォース「NOVA2001」「ラストミッション」「アークエリア」*1サンダーフォースII」。例外は「グロブダー」「グラナダ」くらゐか。

類似ジャンルとして一方向縦スクロール(「バレット」「バルトリック」「戦場の狼」等)になる他は、「奇々怪界」の様なアクションシューティングになることが多い。こちらはこちらで名作が少なくないが割愛。
何故「止まれない全方位」ばかりになつたのか、理由はよく分らないが、恐らく強制スクロールシューティングの延長上に位置づけたアイデア出ししか行はれなかつたからだらう。同時期に出た「タイムパイロット'84」「ヴァンガードII」「サンダーフォース」は全部ぶつちやけ「全方位ゼビウス」だもんな。
海外は逆に後者が圧倒的に多く、XBLAの初期は「新旧含め固定画面全方位シューティングばかりでうんざり」といふ有様だつた。全方位ゼビウスに近い「バンゲリングベイ」の例もあるが、これだつてちやんと停止できる。
全方位シューティングのゲームデザイン上の強みはストラテジー的な展開を盛込めることだらう。「ボスコニアン」「タイムパイロット'84」「ヴァンガードII」「サンダーフォース」等、ワシの好きな作品は多少なりともその要素を含んでゐる。ストラテジーの極北は「バンゲリングベイ」だ。それでも任天堂販売のアーケード移植版の様に、バランスの取り方次第で遊び易いシューティングにはなり得た。あれは名作だつたなあ。

反対に全方位シューティングの弱みはといふと、ドラマチックな演出に仕立てにくい点がある。「サンダーフォースII」はその点よく頑張つたが、結局演出を重視する余り次からはただの横シューになつてしまつた。hate!

海外式の全方位シューティングはその後3D視点を得て「DOOM」を経由し、現在のFPS全盛時代に至つた。そして、2Dに回帰して「Geometry Wars」といふ金字塔を生んだ。

日本は何やつてんだらう。多少なりと系譜上にあつて頑張れてるのは「エースコンバット」と「地球防衛軍」シリーズくらゐか。あと一番元気なのは「連邦vsジオン」に始まるガンダム系か。質的にはいい線行つてるとは思ふが、これだけでは先細りだらう。あと、何とかうまく2Dに回帰できないものか。'84年の作品群以来大した発展もなく滅んだままだぞ。ジャンル作品で心に残るものといへば「ザンファイン」が最後かもしれないな。

  • 2008年11月12日 iwadon ゲーム, シューティング
  • bigburn ゲーム 全方位シューティング考 2009/01/30

*1:「NOVA2001」と「アークエリア」は停止できる気がしてきた。未確認。