大和但馬屋日記

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スーパーマーケットにおけるフォーク並びは最適か

「フォーク並び」は「効率的かつ公平に待ちの行列を捌く」といふ目的に限れば最良の方法だと思ふけど、スーパーマーケットのレジ待ちに最適な方法だらうか。

スペースの問題

銀行のATMコーナーを見れば分る様に、フォーク並びにはそれ専用の広いスペースが必要となる。当然、そのスペースには物が置けない。多くの消費者にとつて魅力的なスーパーとは、並ぶためのスペースを広く取つた店舗ではなく品揃への豊富な店舗であらう。

合目的性の問題

銀行のATMコーナーは、ATMを使ひたい人のためのスペースである。全員の目的がひとつであるから、そのためのルールの統制も容易である。並ばされる側も、ATMの前に立たない限り何も始まらないから、順番を守つて一列に並ぶことが最適解であることを誰でも理解できる。
一方、スーパーマーケットにおいては、レジに並ぶことは買ひ物といふ目的に含まれるプロセスの一部でしかない。客はレジの列に並ぶ寸前まで品物を選んでゐたいのであり、列についてからも買ひ忘れに気が付いて列を離れることも有り得る。さうした場合、またフォークの最後に戻らなくてはならないとすると、実際はどうあれ心理的なペナルティが大きすぎる。それで客が列に縛り付けられるとしたら、それは客にとつても店にとつても不利益となる。

時は金なり問題

時間的効率なんて犬に喰はせればいいよ。とまでは言はないけど。

といふか

「フォーク並びができない状況に不機嫌になる」といふのは、チェスをやらうといふ人に「将棋の方が面白いのに」といつて不機嫌になる様なものではないかな。違ふか。
ともあれ、世の中に「フォーク並び」といふ概念が充分に浸透してゐる現状で、尚フォーク並びが導入されない状況があるとしたら、そこにはある程度必然的に導入されない理由があるのだと思ふ。
フォーク並びは時間的効率は最適でも、ルールとしてはガチすぎる。レジの近くに行列がとぐろを巻いてゐるスーパーがあつたとして、そこに好んで行きたくなるだらうか。ワシがヨドバシカメラ等の大手量販店に行くのを最後の手段にしてゐるのは、あのとぐろに巻かれるのがたまらなく嫌だからなんだよな。そこには合目的性の高いルール以外のすべてが欠如してゐる。