大和但馬屋日記

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第二回ATOK主催日本語テスト

さういへばそんなものもあつたね。まあやつてみた。
86点。○○○○○○○○○○○○○○○○○×○×○○○○×○×○○○。

間違へたのは次の四つ。

第18問 「こちらに{お掛け・お掛けして・お掛けになって}ください」、正しくない尊敬語は、どれ?
問題を読み違へて、「正しい」ものを選んでしまつた。
第20問 次の、敬語を表す語(下線)のうち、美化語として使われているのは、どれ?
「美化語」といふものを知らなかつた。細分化しすぎではないのか。「尊敬語業界」のことはよく分らん。
第25問 「采配(さいはい)を{振る・振るう}」、本来的な言い方は、どっち?
迷つた末に間違へた。
第27問 そぶりにも見せない意を表す慣用表現「おくびにも出さない」の、「おくび」とは?
これは知らなかつた。一つ知識を得た。

で、当ダイアリーとしては例によつて仮名遣方面にツッコミ。

「お待ち遠さま」の「遠」は、形容詞「遠い」の語幹。形容詞「遠(とお)い」と同様、「とお」と書く。したがって、(1)が正解。内閣告示「現代仮名遣い」には、歴史的仮名遣いで、オ列の仮名に「ほ」が続くものは「お」と書くという決まりがある。「決まり」といっても、例外的な決まりだから、そういうものだと覚えておくしかない。

はいはいさうですね。例外だから覚えろ。
「遠」が歴史的仮名遣で「とほ」と表記するといふ説明が抜けてゐるぞ。

正解は「箝口令をしく」。命令によって、一定の事柄についての発言を禁じる意。「しく」は漢字で書けば、「敷く」または「布く」。この「敷く」は、「鉄道を敷く」などと使う「敷く」の抽象化した言い方で、『明鏡国語辞典』によれば、〈命令や政治の体制を築く。また、それを築いて広く行き渡らせる〉意。「軍政を〜」「戦時[協力・独裁・緊急]体制を〜」の場合も「引く」ではなく、「敷く」である。アナウンサーで、これを間違えて言う人がいて、気になっている。

関西弁なら「ひく」でもよい。「ひ」と「し」の同化や逆転は日本語の訛のパターンとしてわりと一般的なので、話し言葉としては目くじらを立てるほどのことはない。もちろん書き言葉としては「しく」が望ましからう。

正解は、「味わわされる」。「味わう」は「味」を動詞化した語で、「わう」は「賑(にぎ)わう」「幸(さき)わう」の「わう」と同じ。「味合う」と解して、「味あう」と書くのは誤り。特に、「味わわない」「味わわせる」は、文学作品でもときどき見かける。「味あわない」「味あわせる」となりがちなので注意したい。

「味はふ」「賑はふ」「幸はふ」。「あ」の入る余地などどこにもない。
「味わわない」「味わわせる」といふ言回しは、語法としては有得ても実際に使ふやうなものではないだらう。シチュエーションとしてをかしいと思はんか? そんな言回しを使ふ文学作品など云々。

「うけたまわる」は、動詞「う(受・承)ける」の連用形+動詞「たまわ(賜)る」からできた語。語源に従えば、「受け賜る」あるいは「承け賜る」などと書いても差し支えないことになるが、一般にはそうは書かず、「承」の字1字を使い、送り仮名も活用語尾の「る」1字を送って、「承る」と書く。内閣告示「送り仮名の付け方」による限り、これが唯一正しい送り仮名のつけ方である。覚えるしかないだろう。

内閣告示にさう書いてあるから唯一正しい答へ以外は間違ひ。はいはい。バーカバーカ。

正解は「スイートルーム」。ホテルで居間と寝室が一続きになっている部屋をいう。suiteとつづり、「ひと続き」「ひと組」などの意。原音に近いのは「スウィート」だが、外来語の発音としては「スイート」が一般的で、ふつう「スイート」と書く。「スィー」は、英語sea(海)の発音に対応するもので、「スィートルーム」と書くと、「シートルーム」に近い発音となる。誤りというべきだろう。豪華なスイートルームが、新婚カップルに好まれるからといって「スイート(sweet 甘い)」を連想し、「甘い部屋」と解するのは誤りである。なお、英語ではsuiteだけで、スイートルームの意を表す。

くどくどと書いてゐるけど、「通じればよい」。原語を知つてゐるかどうかだけが問題であり、それと仮名でどう書くべきかとは別の話だ。

一年前と大して変らないので本気で何かを書く気が起きないなあ。