クレイジーカンガルーの夏(誼阿古,GA文庫) - 大和但馬屋読書日記 - bookグループ
- 作者: 誼阿古,藤本みゆき
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2006/11/14
- メディア: 文庫
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現実にある事物の固有名詞を執拗に並べてリアリティを積上げるタイプの小説はもともと苦手で、だから村上春樹とかよう読まんといふか、一篇読んであとは読まず嫌ひなのだけれど、本作品もそんな感じだ。昭和五十四年当時の宝塚近辺に住んでゐる中学生といふ状況が自分と近すぎて、それ故に書かれてゐることと現実の自分と間にある差異の擦り合せがしたくもないのに起きてしまひ、物語に引き込まれるには随分と邪魔になつた。
物語が大きく動いてからは相対的に固有名詞の登場する頻度が減り、面白く読めた。起きてゐることのひとつひとつに派手さはないけれど、ズシンとくるものがある。作中人物といくつも違はない世代の自分が読めば「うんうん、分る分る」と納得のいく話だから余計に執拗なディテールが不要に感じたが、同じ空気を今のラノベ世代が感じる為にはあれくらゐの描写が必要だつたといふことだらうか。
その辺りどうなんだらうと考へて、子供の頃に読んだこの本のことを思ひ出した。
- 作者: 今江祥智,長新太
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 単行本
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なんといふか、「ガンダム」ベースに書かれてゐるからライトノベルのレーベルから出版されてゐるけれども、本当ならフォア文庫あたりから児童書として出版されるべき物語なのではないかと感じた。
しかしさう思つてフォア文庫のことを調べてみたら、かつて良質な児童書を数多く紹介した*1同レーベルが、今ではえらいことになつてゐて愕然とした。
寒い時代とは思はんか。
てか、こんなところに藤咲あゆながゐるよ。