大和但馬屋日記

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横浜に行けなくても良かつたのに日記

yms-zun2006-09-17

旨い豚饅が喰ひたい。東京には豚饅がない。
昨日のことだ。ワシにとつて豚饅の基本は蓬莱のそれであり、帰阪した時は必ず新大阪駅改札前の出店に立寄ることにしてゐる。しかしそれでは突発的に喰ひたいと思つた時に対応できない。浅草にはセキネといふ有名店があるが、悪いけど全然駄目である。蓬莱の倍ほども高価い割に、コンビニの肉まんと大差がない(つか、コンビニ品のレベルが近年上りすぎてゐる)。
で、思つた。中華街にでも行けば少しは旨いものが喰へるんぢやないかと。幸ひ、天気も良くはないが雨が降る心配だけはなささうだ。よし。出発。
その前に王将で腹拵へ。いつの間にか東京の王将でも塩餡の天津飯が出る様になつた。甘酢餡の天津飯しか喰へない東京はそれあもう地獄だつたがこれで懸案の一つは解消。あとは豚饅だけだ。
満足して出立、海岸通りをスイスイと南下。それにしてもこの通り沿ひは妙な非日常感があるな。浜離宮から竹芝、日の出辺りでさう感じた。で、芝浦の辺りでふと左を見ると、面白げなものがドーンと建つてゐた。フラフラと吸寄せられる。

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既にこの辺で主旨が変りつつあるといふ自覚をどこかへ押しやりつつ、海岸通りに戻つて‥‥うお、モノレールぢや。

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何かもう真直ぐ進む気が無くなつて海の方に向ふ通りがあればそちらへ曲るばかり。品川埠頭。あのでつかい荷揚げクレーンが並ぶ辺りのコンテナヤード。一枚目、コンテナの隙間からフジテレビ社屋を狙つてゐたら目の前をトレーラーが横切つた。トレーラーが歪んでゐるのはレンズのせゐではなく、シャッターが切れる間にそれだけ進んだからだな。冷蔵用コンテナはメカニカルで格好良すぎる。

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そのまま南下、大井埠頭へ。若潮橋では新幹線の大井車両基地への連絡線と並走する。この線を500系が走ることはない。
京浜運河を狭んで対岸には天王洲。東京モノレールはどういつた経緯か知らないが軌道が運河上に敷設されてゐるので無駄に格好いいよな。
運河沿ひの緑地公園をタラタラ流す。大井水道橋が美しい。水道管そのものがアーチに吊られてゐて、根元の支柱も水管を兼ねてゐる。合理的な構造美だが、メンテは大変ぢやないか?

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大井競馬場を遠くに臨みながら行けるところまで南下し、環七で陸の方に戻る。平和島ジャンクションをまたぐのに苦労した。つか、かういふジャンクションを初めてまたいだよ。吹田や千里辺りの人は大変だな。
大森で十五号線に出て、今度こそ‥‥今度こそ‥‥セガの社屋だ、てことは‥‥また左折。見えて来るのは当然これ。

天空橋駅のすぐ近く、日航の整備工場前はYS-11の墓場と化してゐた。錆びついたプロペラのブレードが痛ましい。
そのまま道伝ひにモノレールと並走しながら空港島の南をぐるつと回る。荒涼とした道がシュールで素敵だ。正面はA滑走路の着陸ポイントだし。モノレールが地下に潜るつてのもシュールすぎる。ほえー、とか感心しながら車道走つてたら歩道に上り損ねて最後のトンネルを怖い思ひで潜り抜けた。

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つひに羽田空港に到着、しかしここには自転車の居場所なんてないのな。飛行機もほとんど見えないし、どこもかしこも立入禁止。や、時代情勢を考へたらチャリンコが中をうろちよろできること自体甘過ぎるのやもしれん。
にしてもやたら広いは、脱出路は見つからんはで迷ふ迷ふ。第一第二両ターミナルのリムジンバスやハイヤー乗場の前を自転車で突切るのは何の羞恥プレイですか。場違ひも甚しい。
結局最初に入つてきたトンネルを戻るしかないと知つた時にはすつかり陽も傾いてゐた。あ、帰りは勿論歩道を走りましたよ。
トンネルを抜ければ見事な夕空。視界を遮るものが何一つない、空。
途切れる暇もなく着陸する飛行機を眺めたりモノレールを眺めたり。回転する管制レーダーアンテナの脇をかすめるモノレールとか、どこの未来空間ですか。
日が暮れるまでじつくり楽しんでしまひ、最後に大鳥居を拝んで帰途についた。

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いや、楽しい一日であつた。
え、豚饅? いいよもう蓬莱の通販で買ふことにしたから。