大和但馬屋日記

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その後のメガライナー

かつて、東京駅とつくばセンター間を走るメガライナー「つくば号」といふ長大バスがあつた。ワシも一昨年の秋、JAXA筑波宇宙センターの見学の際に利用したことがある。国内では異例の全長十五メートルといふサイズのため、特別に認可の下りた道路しか走れないといふスペシャルなバスだつた。
昨年つくばエクスプレスが開通して東京−つくば間のバス利用客が激減したことにより、今年の六月に「つくば号」としてのメガライナーの運用は終了し、東京−大阪間を結ぶ夜行バス「青春メガドリーム号」として新たな運用に就くことになつたさうなのだが。
職場の人が、これを利用して大阪に帰省したといふ。さぞ快適だつただらうと話を向けてみると、「は?」と怪訝な顔で返された。聞けば、かういふことらしい。

  • 夜行バスとして設計されてゐないので座席の幅もピッチも狭く、リクライニングもほとんどしない。もちろんトイレもない。
  • 何らかの制約があるらしく、到着までにかかる時間が通常の「ドリーム号」より二時間も長い。
  • 認可の下りた道しか走れないため、名神吹田から大阪駅までの下道の通行に時間が掛る。
  • 緊急時の迂回ができないため、乗車に一定のリスクが付きまとふ(つくば時代も同様)。

等等の理由で、とてもではないが快適な旅とは言ひ難かつたさうだ。因みにその人はかつて職業としてバスに乗つてゐたため、「馴れないバス旅行に疲れた」などといふレベルで出た感想ではないはずだ。
さうか、ワシがあれを快適だと思つたのは二階席最前列を確保したからだつたのだな。東京−つくば間なら精々一時間程度しか乗らない訣だし。
そもそも「青春」といふ名前が怪しい。「青春18きっぷ」の例もある様に、国鉄絡みのサービスに「青春」が付く時は「格安のサービス」といふニュアンスが付き纏ふ。実際、「青春メガドリーム号」も東京-大阪間で繁忙期以外は四千円を切るといふ破格の値段であることが売りらしい。まあ、前述の感想を聞けばさもありなんといふか、流石にそれ以上の値段は取れないだらうといふ気にもなる。
鳴り物入りで輸入したスペシャルバスも、かうなるとなんだかうらぶれて見える。日本で就役が始まつてまだほんの数年なのに、今ではどちらかといふと要らない子扱ひ。諸行無常よのう。