コメント欄にyukattiさんより頂いた投稿の転載。
なるほど。タイトルのみならず本文中でも再三名前がでてくるのに表記が確定しないといふのも面白い。底本が確定してからも教科書によつては「オッペル」を採用してゐた様だし。因みに私の時は「オツベル」、五年離れた弟の時は「オッペル」だつた。一往「オッペル」説にも根拠はある様で、googleで探して見つけたのがこちらの説。
福武書店の木村昭平さんが描いた絵本の後ろに木村さんが書かれていました。1926年が最初にある雑誌で発表されたときは『オツベルと象』だったが、1934年に『オッペルと象』の名で出版され、長い間その題名だったのだけれど、近来最初の”オツベル”に戻った。
でも木村さんの調べたところではオツベルはどの外国語にもないけれど、オッペルの方はドイツ語のオッフェル(opfer)という語があり意味は「宗教的犠牲者」だ。賢治は充分ドイツ語に詳しかったからオッフェルからオッペルにしたんじゃないだろうか。
だから木村さんの絵本は『オッペルと象』なのです。
ただしこれはあくまで木村昭平氏が敢えて「オッペル」を選んだ理由であつて一九三四年版が「オッペル」表記になつた理由とは関係ないものと思はれるので要注意。
私個人が「ツ」を促音と考へる理由は、当時の仮名遣ひの常識内で「オツベル」を「オッペル」として出版されたことがあるといふ事実からも、さう読む方が自然だらうと判断できること。しかし賢治の言語感覚が独特であつた可能性もあるので、もちろん「これが正しい」と主張するまでには至らない。