島の何箇所かに，一見さうとは分らない様な祠がある。これはその一つである金毘羅社，であるから祭神はいふまでもなく大己貴命すなはち大国主命であり大黒天でもある。よく考へたら日光二荒山神社と同じだな。つか出雲大社と同じだな。なんて言つてたらキリがないな。
もともとは中の小祠だけがあつて，後から小屋を作つたのであまり神社然としない祠となつたのだらう。この小屋の中で祠にむかつて豆を投げつけながら「福は内」と怒鳴るのは何かをかしいやうな気がしないでもない。「出雲の荒ぶる神を封じて豆で追ひ払つてゐるのだ」とでもいへば如何にも尤もらしいが，まず関係ないことは賭けてもいい。やや離れたところにある戎社でも同じことをするのだから，さういふものなのだとしか言ひ様がない。
