こないだ買つたサラウンドシステムの話。
SONY 5.1chデジタルサラウンドヘッドホンシステム MDR-DS1000
- 出版社/メーカー: ソニー
- 発売日: 2005/10/10
- メディア: エレクトロニクス
- 購入: 16人 クリック: 137回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
ソニーのカタログより抜粋
感度 100dB/mW 再生周波数帯域 12-22,000Hz インピーダンス 70Ω
これに対し、普段使つてゐるKOSSのPortaProのスペックはかう。
価格.comより抜粋
周波数帯域 15Hz〜25kHz 音圧感度 101dB インピーダンス 60Ω
当方全くの素人なのでこの数字をどう比較すべきなのかをきちんと理解できてはゐない。[ヘッドホンナビ] - 用語解説とFAQを参考にした限りでは、ソニーのXD100に比べてKOSSのPortaProの方が感度が高くインピーダンスが低い、つまりより少ないエネルギーで大きな音圧を発生させられるといふ風に理解した。
実際にサラウンドアンプに接続して比べてみると、同じボリュームのツマミ位置ではKOSSの方が遥かに大きな音が出る。XD050でKOSSと同等の音量を得ようと思つたら、ツマミを倍以上にしなくてはならない。XD050のカタログスペックがXD100と同じと仮定した上で単純に性能を比較すると、KOSSの方が圧倒的に優れてゐると頭で理解してしまひさうだ。しかし、本当にさうだらうか。
XD050の売り文句は最大音圧レベルを高め臨場感を向上させるロングストローク振動板。映画の音響効果を豊かに表現します
といふもので、振動板のストロークが大きくなるといふことはつまり慣性の法則により動きが鈍くなる、即ち駆動させるにはより大きなエネルギーが必要といふことである。この理屈はボリュームのツマミを大きく設定しなければならないといふ実際の使用状況とも合致する。
動きの鈍い振動板を、大きなエネルギーで駆動させると、低音の深みが増すといふテクニックがオーディオ界にはあるらしい。その辺に詳しい上司に話を聞くと、スピーカーのコーン紙に薄くスライスした消しゴムを貼り付けて動きを鈍らせるテクニックが存在するとか、そもそも上等なスピーカーのコーン紙は動きが鈍いもので、だからそれを大音量で鳴らせる強力なアンプが必要なのだとか、ヴァン・ヘイレンのギターの音の作り方も云々とか、いろいろ薀蓄を傾けてくれた。成程。
アレか、高級車のエンジンが大排気量なのはスピードを出すためではなく低回転で十分なパワーを出して騒音や振動を減らすためとかさういふ理屈と同じか。違ふか。
まあ、そんな訣で、実際に聞き比べると確かにXD050の方が「音に包まれる」感覚には優れてゐるかもしれない。PortaProはPortaProで低音重視のヘッドフォンだが、こちらは低音を直接鼓膜にぶつけてくる感じだ。バーチャルサラウンド効果を得るにはあまり向いてゐないかもしれない。
ただ、XD050は根本的に安つぽいので、ボリュームを上げると上げた分だけノイズが乗るんだよな。この辺で馬脚を表してるといふか。このために上の方がスカスカに聴こえる。どちらの音が「いい」かと訊かれればやはり「KOSSの方」と答へざるを得ない。
つまり音楽用とサラウンド用では特性の異なるヘッドフォンを用意しなくてはならないといふことか。特性の違ひは実感として理解したので、同じ方向で品質の高い品を物色するしかあるまい。この辺にハマりだすとオーディオヲタになれるのだらうか。
さうさう、「エージング」とやらの効果についてはプラシーボだと思つてゐる。但しプラシーボそのものは否定しない。心理的な効果であれ(あるいは身体の方が馴らされたのであれ)、「よい」と感じたならそれでいいぢやないか、だからといつてプラシーボを得るために余計な投資はや行動はしないけどね、といふスタンスで。だからわざわざエージングとかやらない。