大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

特撮としての「地球防衛軍」

ごめん、紛はしいカテゴリ分けをするけども、本多猪四郎監督の映画の話ではない。でも、魂のレベルで関係のある話。ゲームの「THE地球防衛軍」シリーズをあへて特撮と捉へた話をしたくなつた。
別エントリに書いたゲームの感想とは別に、Xbox360版の「地球防衛軍3」で遊んだらいろいろと感じるところがあつて、でもそれは全然ゲームとは関係ないことばかりだつたんだ。だから、ここではゲームの話はしない。
PS2用の「THE地球防衛軍」と「THE地球防衛軍2」のことはたびたび書いてきた通りで、このシリーズの魅力はゲームとしての面白さと怪獣特撮映画のビジュアルがきちんと結びついてるところにあると思ふんだな。一作目の時点で既にハッとする様な絵がたびたび見られたし、二作目でそれはさらに強化された。しかしまあ、今となつてはPS2の悲しさ、といふか低価格のSIMPLE2000シリーズの悲しさで、町並みの作り込みのレベルなんかに制約をいろいろと感じるものがある。出来は決して悪くない、どころかかなり頑張つてる、でも「いろいろ厳しいよね」と。
それが「3」になつて、ハードウェアで「できること」が大幅に増えて、画面が圧倒的に綺麗になつた。建物の質感とかディテールは十分リアルになつたし、画面の解像度も上がつたし、街中には電線が張り巡らされてるし、地下空洞の岩肌の質感も上がつた。凄いよ。
でも、何故だらうな、「ふーん」と感心することは多くてもハッと息を呑むやうな絵にまだ出遭へてないんだ。なんでだらうね。
もちろん、ひとつには「馴れ」の問題があるだらう。前二作を知らずにいきなり「3」を見れば「おお」と思ふのかもしれない。でも、さういふものでもない気もするんだ。
例へばビル街の稜線の向うに、空を覆ひ尽くすやうな巨大円盤。そこから降つてくる無数の巨大な蟻。ビルの壁面を這ひ回る蟻の群れ。ビルとビルの隙間から見える巨大なロボット戦車。怪獣。小型円盤。同じものを表現してゐるはずなのに、PS2の画面から感じたゾクゾク感が360では今ひとつ感じられない。不思議だ。
理由の一つはデザインにあるのかもしれない。PS2版のデザインはどれもベタだ。蟻や蜘蛛はまあそのままとして、円盤は本当に「円盤」だしロボット戦車「ダロガ」はトライポッド(あるいはドグ・マック)そのものだし怪獣「ソラス」は言はずとしれたアイツにそつくりだ。SIMPLEシリーズだから許されたさういふB級臭さが映像に与へた「お約束」感は大きい。
それが、新機種になつて一人前の値段のパッケージになつて、もしかしたら海外展開なんかも考へなくてはならなくなつて、B級狙ひでは済まなくなつた。だからデザインはオリジナリティの高いものになつて(でもロボットはザンザ・ルブに似てゐる)、円盤も円盤型ではなくなつて、全体的に「クオリティアップしたなあ」としか言ひ様のないものになつた。質感も随分と向上して、ツヤツヤのテカテカになつた。怪獣もなんだか平成ガメラとか平成ウルトラに出てきさうな感じのデザインに変つた。凄いんだけど、うーん‥‥何か違ふんだよなあ‥‥て感じだ。
で、考へて思つたんだ。「地球防衛軍3」は「THE地球防衛軍」・「〜2」のリメイクなんだつて。ゲームの感想としてもさう書いたけど、そちらはそのまんまの意味。ゲームシステムとかなんとかの実利的な部分。ここで言ひたいのはさういふ意味ではなくて、もう少しメタな視点で。
例へば映画の新旧「宇宙戦争」とかさ。東宝チャンピオンまつり用の一連の「ゴジラ」と「ゴジラファイナルウォーズ」とかさ。「ウルトラマン」と「ウルトラマンパワード」とかさ。「日本沈没」とかさ。何でもいい、とにかくさういふ「過去の名作映画を最新技術でリメイクしました」といふやつ。それぞれ良し悪しあるけれど、旧作が好きな人からは「何か違ふよねー」と言はれてしまふやつ。
なんだか、「地球防衛軍3」といふタイトルは、特撮映画によくあるさういふ部分までわざと狙つてゐるのではないかな、それを体現するためにわざわざXbox360といふプラットフォームを選んだのではないかなと。PS2版の作品を「三十年くらゐ前の旧作映画」と捉へて、それに対する「二十一世紀のリメイク映画」として360版のビジュアルイメージを固めたんではないか。だとしたらどこまで特撮が好きなんだこれを作つた連中は。みたいなことを、ぼんやり思つてしまつたわけさ。
まあ、そんなことは全然ないかもしれないといふか、たぶんそんなことは全然ないんだらうけど、何たら2.0が云々で次世代機がどうかうとか言つてるより、さういふ風に考へる方が楽しいぢやないですか。大人の事情なんて考へるのは大人だけで十分だ。
やつぱ好きだわ「地球防衛軍」。
いー、でぃー、えふ! いー、でぃー、えふ!

  • 2007年07月06日 jamais_vu ゲーム
  • 2007年01月02日 bhikkhu game, culture
  • 2007年01月01日 kanose Xbox360, ゲーム
  • 2007年01月01日 Iron-9 game, movie
  • 2006年12月18日 hiby game あー、なるほど。
  • 2006年12月15日 RanTairyu
  • 2006年12月15日 brainparasite ゲーム, 特撮 なるほど。
  • 2006年12月15日 msrkb *, game, movie 全面的に同意。

今日のゲーム(十二月十五日)

お姉チャンバラvorteX(Xbox360,D3/TAMSOFT,ASIN:B000FSELXY)お姉チャンバラvorteX ~忌血を継ぐ者たち~【CEROレーティング「Z」】 - Xbox360

いつもの「姉チャン」だな、うん。
フルCGのデモが各所について、ステージ毎のストーリー的な繋がりが比較的まともになつて、会話シーンもアニメーションして、といふ風にSIMPLE2000シリーズなら投げ放しでよかつたところをきちんと作つてみたけれど、内容は本当にいつもの「姉チャン」だ。
PS2よりは作りこんであるけどフレーム数は相変らず足りてないし、シェーディングをぼかしてるから画面はかへつて汚く見えるかもしれない。他のXbox360クオリティの画面を見慣れた目で見ると正直かなり厳しい。
でもまあ、いつもの感じでCOOLコンボを叩き込んでればハッピーに遊べる。だからオーケー。COOLコンボの判定は甘めになつてゐる(たぶん「THEお姉チャンポン」に準じてる)。あと、クエスト収集も楽になつてゐて、全てのクエストが任意の三ステージで達成できる様になつた(同じステージで繰返し取つても良い)。その代りクエストの種類が二倍くらゐに増えた。「クールマスター」が序盤二つのステージで比較的あつさり取れたところをみると、「クールマスター」達成条件(COOLコンボを高い割合で保つ)もずいぶん甘くなつたやうだ。「2」の時はかなり大変だつたからな。この辺、PS2版のシリーズを知らない人にも入りやすくしたといふか、やはりSIMPLE2000シリーズなら投げ放しで済んだところを丁寧に作つたんだらう。
ノーマルで始めて七ステージクリアしたところ、かな。ステージ数はかなり増えてゐる模様。クローンレイコの群れと戦つて負けて終了。アイテムが尽きたのでどこかで稼がないと、という部分まで含めて全くいつもの「姉チャン」だ。

地球防衛軍3(Xbox360,D3/SANDLOT,ASIN:B000FSBL0U)地球防衛軍 3 - Xbox360

いつもの「EDF」だな、うん。
ゲームとしては「姉チャン」ほどの新規プラットフォーム向け配慮もなく、本当にPS2版と変らないつくり。ただし、「姉チャン」と違つて見た目のクオリティは機種相応にパワーアップしてゐる。Xbox360用のタイトルとして遜色ないとまではいへないかもしれないが、PS2では出せない絵だこれは。
まあ、これは続編でなく「一作目のリメイク」だなあ。ステージは「2」に相当するものもあるけれど、「2」を作つた後に「1」に立ち戻つてみたらかうなつた、みたいな部分が多い。
難易度NORMALで始めて三十数面(忘れた)、四ツ脚要塞を破壊したところまで。なんか武器の当り判定が甘めになつてないか? 敵側のコリジョン用の箱が大きめに取られてる感じがする。楽になつたのはいいけれど、遠距離からスナイパ−ライフルで精密射撃を決めて「俺スゲー」みたいな喜びが少し薄れたやうな。