エレベーターのボタン配置に関する調査報告 - まんぷく::日記
今村さんによるエレベータの「開」「閉」ボタンの配置調査。なるほど、ほぼすべてのエレベーターで、左のボタンが「開く」、右のボタンが「閉じる」である
といふ調査結果には信頼をおいて良ささうだ、と思つた(不遜な言ひ方になつてしまつて申し訣ありません)。
それはそれとして、今村さんの写真(1,2)をネタに私からも一つ。
自分はこの開閉ボタンで一般的となりつつあるシンボルのデザインがどうもいけ好かない。この、といふのは「中央の縦線を挟んだ二つの三角形の向きで開閉を表す形」のシンボルのことだ。未だにこの二種類の図を見て瞬時にどちらが「開」であるかを判断できないし、少し考へて開くつもりで「閉」の方を押すこともある。
もちろん、頭で「三角の向きが左右の戸の『これから動く』方向を示した図である」と理解はしてゐる。しかし、漢字の「開」「閉」という文字の意味をそのまま図案化した時に、どちらが「開いた」イメージでどちらが「閉じた」イメージを表してゐるかと問はれれば、緑色で示される方を「閉じてゐる」、もう一方を「開いてゐる」と判断する人は少なくないのではないか。如何なものだらう。
さう思ふ理由の一つは三角形が象徴的すぎて一見して方向性を見出しにくいこと、もう一つは中央の縦線が視覚的な理解に何の寄与もしてゐない様に思はれることにある。もつと単純な話をするなら、自分にはこのシンボルが観音開きの扉の図案化に見える。エレベータの戸は扉ではないからさう見えるのは現実に即してゐないけれども、それを言ふならエレベータの戸の全部が全部左右に開く構造といふ訣でもないだらう。大きくないエレベータなら段違ひ式の片開きのものが殆どだと思ふ。その形式のものには件のシンボルが一切使はれてゐないなら筋が通つてゐるが、実態はどうだらうか。今度注意してみよう。
写真の例の中のいくつかに見られる様な、矢印であつたり大なり小なりの記号の様なシンボルであれば自分もまづ間違はないと思ふ。特に優れてゐるのは二枚目の写真の右下隅のもので、開のシンボルの左右両端に縦線が引かれてゐる。物事の過不足ない図案化とはかくあるべしである。一番普及してゐるシンボルが最も良くない図案であることを嘆くばかりだ。
尚、漢字の「開」「閉」については、同じ箱に乗つた日本語のできる西洋人が押し間違へて恥かしさうにしてゐたのをフォローした経験があるので、今後これを増やす必要はないと思つた。
- 2006年06月07日 nobody bm2087107, design UI. 視覚設計. icon. ユーザビリティ. [にょき].