大和但馬屋日記

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2004-08-29

[][][]第14戦ベルギーGP決勝(8/29)44周 (晴/ドライ)

スターティンググリッド。

  1. トゥルーリ
  2. M・シューマッハー
  3. アロンソ
  4. クルサード
  5. フィジケラ
  6. バリチェッロ
  7. ウェバー
  8. マッサ
  9. パニス
  10. ライコネン
  11. モントヤ
  12. バトン
  13. クリエン
  14. ピッツォニア
  15. 佐藤
  16. ハイドフェルト
  17. ブルーニ
  18. バウムガルトナー
  19. パンターノ
  20. ゾンタ

スタート、やはりルノー二台が飛出した。マイケルはクルサードにも差されて一コーナーに、そして後方で接触が。マッサがクルサードに追突したその脇で、ウェバーがバリチェッロに追突してフロントウィングを落とした。

そしてオールージュからラディオンにかけて、琢磨のリアタイヤが壊れている映像が。ブルーニと絡んだか、両者が左右のコース脇にずるずるとクラッシュ。そこにウェバーやパンターノが突込む形で、一気に四台が姿を消した。この処理でセーフティカーが入り、これを見てバトン、マッサ、バウムガルトナー、バリチェッロ、ハイドフェルトパニスがピットイン。しかしバリチェッロは追突された影響でリアウィングを破損し、再度ピットインしてこれを交換した。

五周目にレース再開。直後の一コーナーでバトンがゾンタを抜いて十番手、そしてオールージュでライコネンがマイケルを抜いて三番手へ。マイケルはモントヤにも攻め立てられ防戦一方。そしてバスストップ入口でモントヤがマイケルを一気に抜き去った。思わず「すげー」と叫んでしまった。

六周目、ライコネンクルサードをパス。トップのルノー同士も僅差。今日は上位陣が熱い。八周目の順位。

  1. トゥルーリ
  2. アロンソ
  3. ライコネン
  4. クルサード
  5. モントヤ
  6. M・シューマッハー
  7. フィジケラ
  8. ピッツォニア
  9. クリエン
  10. バトン
  11. ゾンタ
  12. マッサ
  13. パニス
  14. ハイドフェルト
  15. バリチェッロ
  16. バウムガルトナー

よし、今日はマイケルを本気で応援するぞ。この状況から連勝記録を守ったら凄いじゃないか。

十周目、クリエンがピットイン。続いて十一周目、トップを走るトゥルーリがピットイン。アロンソと入れ換るかどうか。しかしアロンソはすぐには入らない。そのかわりに四十五秒台のファステストラップを出して、首位を取りに行く。‥‥しかし何としたことか、ケメルストレートの終りでスピン、ライコネンに先行を許してしまう。そしてさらにスピン、グラベルに捕まってストップ。どうやら自分の噴いたオイルで滑ってしまっていたらしい。

それとほぼ同時にクルサードリアタイヤがバースト。何とかピットには戻ったが、揺れ動く上位陣。十四周目にトップに出たライコネンがピットイン、これで見かけ上モントヤがトップでマイケルが二番手となった。ほら面白い。

十六周目、モントヤがピットイン。未だピットインのないマイケルとピッツォニアが1-2だが、ここでマイケルがピットイン。ピッツォニアはキャリア初のラップリーダーとなる。

十八周目、ピッツォニアがピットイン。一旦状況が落着いた時点の順位。

  1. ライコネン
  2. バトン
  3. トゥルーリ
  4. M・シューマッハー
  5. マッサ
  6. モントヤ
  7. ピッツォニア
  8. フィジケラ
  9. パニス
  10. バリチェッロ
  11. クリエン
  12. ゾンタ
  13. バウムガルトナー
  14. クルサード
  15. ハイドフェルト

すぐさまマイケルはトゥルーリを抜いて三番手に浮上。トゥルーリはどうもペースが落ちていて、マッサやモントヤの追撃を受けている。マッサはしかしすぐにピットイン。

そしてモントヤがトゥルーリに、またもバスストップで襲いかかる。両者接触トゥルーリは弾かれて百八十度回頭。あの狭いシケイン外側のスペースで奇蹟的にどこにもぶつけず止まったトゥルーリはコースに復帰したが、勝ち目は消えた。両者はレース終了後に審議対象になるとの通告あり。二十三周目、トゥルーリがピットイン。十二番手まで落ちてしまった。

二十四周目、バリチェッロがピットイン。長い給油で、残り半分近くを走り切る作戦に出た。十番手から、どこまで上がってこられるだろうか。

トップを快走するライコネンと二番手マイケルのタイム差は十三秒。マイケルはハイペースで逃げるライコネンに喰い付いていくのが精一杯に見える。

三十周目、ライコネンがピットイン。続いてモントヤ。同じ周、バトンのリアタイヤがストレートエンドでバースト。横を向いたBAR006が、丁度抜こうとしていたバウムガルトナーに突き刺さり、巻添えを喰わせてしまった。これはかわいそうだ。BARミナルディ、全滅。パーツが四散して、またセーフティカーが入った。これでライコネンとマイケルの差はなくなった。ほら来た。

パレード中の三十二周目、ピッツォニアがスローダウンしてストップ。駆動の伝達がなくなったらしい。順位。

  1. ライコネン
  2. M・シューマッハー
  3. モントヤ
  4. バリチェッロ
  5. ゾンタ
  6. マッサ
  7. フィジケラ
  8. パニス
  9. クリエン
  10. トゥルーリ
  11. クルサード
  12. ハイドフェルト

じりじりと心理戦を繰り広げるパレード中の二台。AMGに先導されるメルセデスのマシンがマイケルを抑え込むのか。残り十周、レースリスタート。

上位は順位キープ、ライコネンは上手くやった。後方でクリエンパニスを抜いて、自身初ポイントゲットのポジションへ浮上。前のフィジケラも狙いたいが、後ろからはクルサードが来ている。

ライコネンは逃げる、逃げる。マイケル追いすがる。モントヤも‥‥リアタイヤバースト!! ミシュラン、これで三台目。

残り六周、クルサードクリエンを抜こうとして、フロントウイングを壊してしまう。最後の最後で、またもセーフティカー導入。

残り三周でリスタート、ケメルストレートでゾンタがオイルを噴き出してリタイア。何が起こるかわからんもんだ。

上位の順位は動かず。ライコネンが数々の障碍をものともせず、マイケルの追撃を振り切って今季初優勝を飾った。二位マイケル、三位バリチェッロ、マッサ、フィジケラクリエンクルサードパニスまでが入賞。完走十一台、荒れに荒れたレースだった。

マイケルはバリチェッロとの差を二ポイント開いて、七度目となるワールドチャンピオンが決定。マクラーレンザウバーがダブル入賞、クリエンもようやく初ポイントと、見どころのある結果になった。

スタートで順位を大幅に落としたマイケルは、結局それを取り戻すことができなかった。すでにマシンの開発は止めたフェラーリが残り数戦をどう凌ぐのか、誰が隙を突いて来るのか。次はモンツァフェラーリの地元。勝つのは誰だ。

2004年第14戦 ベルギーGP決勝結果

順位 ドライバー チーム タイヤ タイム/周回
1 K・ライコネン マクラーレンメルセデス Mi 1:32'35.274
2 M・シューマッハー フェラーリ BS 0'03.132
3 R・バリチェッロ フェラーリ BS 0'04.371
4 F・マッサ ザウバーペトロナス BS 0'12.504
5 G・フィジケラ ザウバーペトロナス BS 0'14.104
6 C・クリエン ジャガーコスワース Mi 0'14.614
7 D・クルサード マクラーレンメルセデス Mi 0'17.970
8 O・パニス トヨタ Mi 0'18.693
9 J・トゥルーリ ルノー Mi 0'22.115
10 R・ゾンタ トヨタ Mi +3LAPS
11 N・ハイドフェルト ジョーダンフォード BS +4LAPS
R J・P・モントヤ ウィリアムズBMW Mi 37LAPS
R A・ピッツォニア ウィリアムズBMW Mi 31LAPS
R J・バトン BARホンダ Mi 29LAPS
R Z・バウムガルトナー ミナルディコスワース BS 28LAPS
R F・アロンソ ルノー Mi 11LAPS
R M・ウェバー ジャガーコスワース Mi 0LAP
R 佐藤琢磨 BARホンダ Mi 0LAP
R G・ブルーニ ミナルディコスワース BS 0LAP
R G・パンターノ ジョーダンフォード BS 0LAP

譬へ話の有効性

昨日の話*1にツッコミ頂載。

逆に、「例え話はまかりならん」と言われると「この人は、今している議論について、独占的な知識、経験を持っていて、それを使うことで、「議論の場」を「説得、もしくは宣言の場」に変えよとしているのではないか」と、自分は思ってしまいます。
そう、例え話って、「ある分野について、自分、もしくは一般人よりも知識、経験などで優位な立場にいる相手が、「相手側の論理」を振りかざして、相手側に都合のいい状況を作り出そうとしているとき」に有効な反撃手段となると、私は思っています。

想定されてゐる状況が少し限定されすぎてゐて今ひとつ私の理解が及んでない気がしますが、確かにさういふ局面もありさうではあります。ただ、それは論戦に勝つ(あるいは負けない)ための手法であつて、私が昨日の話の前段で示したやうな「自分の意図を読者に伝へる目的の文章で」といふ場合とはケースが異なると思ふのですが。
といふか、スウプさんの仰る様な相手が振りかざすその「相手側の論理」といふものの中身が、その相手しか知り得ない専門的な知識なり経験なりである場合もあれば、言外に含みを持たせた譬へ話である場合もあるわけです。結局それは相手を煙に巻くための手段であり、「意図を相手に正確に伝へる」努力を抛棄してゐることに違ひはありません。私はそこのところを注意すべきだと主張してゐます。
戦術的な効用としては昨日書いた「相手の神経を逆撫でするのに使へる」といふのと大差ない気もします。

譬へと例へ

丁度良いので「置換へ語」の話をしてみる。
私は正字体を用ゐないが、かといつて「譬へ話」を「例へ話」とは書かない。「例」は「譬」の新字体ではないからだ。譬喩としての「たとへ」と例示としての「たとへ」は異なる概念なのに、同じ字を用ゐるのはをかしい。試しにgoo辞書で「たとえ」を調べて見出語一覧を見ても、両者が本来別の言葉であることは窺へるだらう。
序でにいふと、「譬」も「喩」も「たとへ」といふ意味なのに、これを「比喩」と書くと全く意味が通らなくなる。「AをBと譬へる」ことと「AとBを比べる」ことが同じであるわけがない。「比」は「譬」の新字体でも何でもなく、ただ音に合せて別の字に置換へただけだ。
今「譬喩」と目にして「ひゆ」と読める人は多くないだらう。私もはじめは読めず、仕事で「けいゆ」と振仮名をつけて恥をかいたことがある。教はつてゐないのだから知らないのは当然だ。
しかし、読み書きが難しいといふ理由で、ある概念の意味が歪められてゐることは知つておいて損はない。そして、同様の「置換へ語」は他にも沢山あつて、既に復旧不能なものも少なくないのだ。