昭和中期の看板を見つけました。字体が旧字です。携帯はおろか有線電話も全世帯という訳ではなかった頃、火の見櫓の半鐘がまだ有効な警報手段だったのでしょう。時代劇によく出てきた半鐘三点打ちは火消しの出場信号だったのか。 pic.twitter.com/MrF8ydAQtH
— 勝沼ぶどう郷ユースホステル (@katsunuma_yh) 2017年11月27日
字体が旧字です。とあるが、これだけ澤山の漢字が使はれてゐる中で「舊字(旧字)」と呼ベるのは「應援信号」の「應」ただ一文字のみだつた*1。あとは全て「新字」あるいは俗字しか使はれてゐない。
この看板の字體が舊字であるといふにはまづこの表で最も多く使はれる「信号」が「信號」と書かれてゐるべきだらう。それ以外には「發令(発令)」「鎭火(鎮火)」「餘韻(余いん)」が「新字」になつてゐる。他に「舊字」の存在する文字も殆どない。
では何故この看板が「舊字」と誤解されたかと推測するに、「点」が俗字(「占」の下に「大」)になつてゐるからで、この字は今となつては手書きでもあまり見かけないし一般的なコンピュータの書体としてはそもそも出てこない。でもこれはあくまで俗字とされてゐて、「点」の舊字ではない。舊字としては「點」と書く。
といふ訣でこれは「應」を除いては「旧字」など一文字も使はれてゐない、ただ古めかしいだけの看板なのである。
*1:二箇所ある