大和但馬屋日記

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世にオカルトの種は盡きまじ

圓周率の數字の任意の桁に0から9のどの數字が現れるのかを、前後の桁の數字の竝びから推測して決定することは出來ない。どこかの桁に何かしらの法則の樣なものが見えたとしてもそれは單なる偶然であり、圓周率を求める爲の計算から導かれる結果の必然性とは何の關係もない。
圓周率の小數點以下十桁まで「7」は出現しないし三十桁までは「0」も出現しない。頭の「3」がその後の桁に周期的に表れたりもしない。このことか何かを示すのかといふと何も示さない。十分に大きな桁數の中で0から9までの出現率を数へるとそれぞれがほぼ等しく1/10を示す。言へるのはただそれだけである。1/10の確率は十囘に一囘、ではない。
別にこれは圓周率に限つた珍しい話ではなく、割り切れないし數字も繰返さない「無理数」は幾らでもある。むしろ、數學的には殆どすべての實數は無理數である。特別なことではない。
何が言ひたいかといふと、地震の豫測とは「無理數の任意の桁の數字を言ひ當てろ」といふのと同レべルで理論的に不可能であるといふこと。正當な地震學者の言つてゐるのはさういふことであり、「南海トラフ地震は何年周期」などといふのは全くただのオカルトである。そんな豫測めいたものに何かを賭けるのはただのギャンブルだ。
まあそのギャンブルにオカルトが跋扈するのを止められない樣に、地震豫知なるオカルトも止められないのだらう。