大和但馬屋日記

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考察その一「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN V」

先週觀た「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN V」ではブリティッシュ作戰のコロニー落し、初代ガンダムのオープニングの「人は自らの行爲に恐怖した」のあのシーンについて、落ちたコロニーの中に暮す人の視點での頴末が生々しく描かれてゐた。
曰く、コロニーを制壓したジオン軍がコロニー内を毒ガスで滿して住民を虐殺し、それと竝行してコロニーを地球目掛けて落下させるといふ手順を踏んだらしく、毒ガス注入の樣子やそこから逃げようとしてあへなく引裂かれる若い男女の姿が描冩されてゐた。しかしこれは、實際どうだらう。
設定上のコロニーの大きさは直徑六キロメートル、長さ三十キロメートルに及ぶ圓筒形で、圓筒の内壁を開いて平面に擴げてみれば大阪府の北半分、大阪市東大阪市大東市から箕面市茨木市高槻市島本町までの居住區をすつぽリ覆つてしまふし、山地を避けて平行四邊形に歪めれぱ堺市から八尾市までもカバーして、要するに大阪府の人口の大半が收容できるほどの面積を有してゐる。その内の半分は採光窓なので居住可能な土地は半減するとしても、物理的に途方もない廣さであることには違ひがない。それだけの面積の住人を全滅させる程の毒ガスが果してムサイ數隻に積んだタンクだけで可能だらうか? ざつと計算してみよう。
コロニー内容積が七千六百三十立方キロメートル、VXガスの致死量は毎分〇・一ミリグラム/立方メートルとしてざつと雑に計算すると、時間効率を度外視すれば七千六百三十トンのVXガスが必要になる。数字だけだと意外に何とかなりさうだな、合つてるか知らんけど。まあ、コロニー内を致死量のガスで滿たせようが滿たせまいがコロニーごと落ちてしまへば誰一人生き殘れない事は間違ひなく、逆に何故先にガス虐殺など行ふ必要があつたのかと首を傾げてしまふところではある。何をどう想定しても悲慘でしかない話。