大和但馬屋日記

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パンク紀行

昨日、自宅に兩親を送り届けてから自轉車で友人宅に行き、一泊して四人連れでサイクリングに出掛けた。出掛けたはいいのだが自分の自轉車にパンクが相次いでしまひ、皆に大迷惑をかけてしまつた。その顚末。
朝に出掛けの準備をしてゐて、前タイヤの空氣壓が下つてゐるので携帶ポンプで空氣を入れた。このポンプが古い代物で、性能に文句はないがポンプ本體にバルブを捻じ込むタイプである爲に亂暴にポンピングをしてはバルブを傷めてしまふ。果して今囘は傷めてしまひ、バルブの付根が裂けて空気が漏れてしまつた。これが一囘目。走り始めて、五分程で再びパンク。交換したチューブのバルブ付近のタイヤの嚙込みが甘く、ビードがリムから外れてパンクしてしまつた。これは俺の作業ミス。友人の一人が持つてゐた豫備のチューブを貰つて愼重に修理をした。
そして走リ始めて快調だと思つたその矢先、無情にも三回目のパンクの音が。調べてみたら典型的なスネークバイドの跡がある。心が折れさうになるが、友人達が近くのサイクルショップでチューブを調達してきてくれて、感謝しつつ作業して、それがまたパンクして心が折れた。自分一人ならとうに投出してしまつてゐる。
四囘目の原因は一囘目と同じ携帶ポンプの構造に起因するものだが、作業したのは自分であり同じ日に二度目のミスを繰返したのも自分である。俺が惡い。折れた心が砕ける音を聞きながら途方に暮れる。チューブを買ひに走つてくれた仲間にも申し訣ない。結局、そのチューブを買つたといふサイクルショツプまで二キロ程自轉車を牽いて歩いて、最後はプロの手で修理してもらつた。序でに携帯ポンプを新調、本體からホースが分離したものにした。今日はもうこれの出番がないことを祈るのみである。たぶん俺の所爲で二時間は無駄にしたと思ふが、そのまま當初の豫定通り武庫川のサイクリングロードを經て寶塚から有馬温泉を目指した。
寶塚の街は子供の頃に多分清荒神詣の途中で通り過ぎたくらゐの記憶しかなく、あとは中國道の澁滯に巻込まれるしか用のなかった処。ファミリーランドも寶塚劇場も行つたことがない。成程かういふ街か。山と川があつて景色のいい処ではあるな。
有馬温泉に上る途中、名塩のサービスエリアに寄つてレモンラーメンなるものを頂いた。醬油ラーメンの具としてただレモンのスライスが澤山載つてゐるだけのもの。喰へなくはないし不味くもないが、まあ二度目は要らぬ。普通のラーメンにレモンが二、三切れ載ってゐるくらゐで丁度良いのではないか。
食事を終へて有馬温泉へ。たまに嚴しい上りもあるが大したことはなかつた。目的地に着いて、足湯に浸るでもなく小休止して歸路についた。下りは有馬街道をブッ飛ばす。いふても時速四十キロも出てゐない、そんなに出せない。車が居ない道なので樂ではあるが、しかし有馬温泉郷に溢れ返つてゐたあの自動車共は一體どの道を通って來たものだらう。よく判らぬ。
友人宅まで歸って九十キロ。百キロを超えてゐないので尻は痛くなつてない。それにしても立續けのパンクには消耗させられ、友人達にも迷惑をかけた。申し訣なく思ふ。思へば渥美半島でパンクしたのがケチのつき始めだつた。パンクそのものは不運ではあるが、心構へひとつで避けられたり容易にリカバーできることは多かつた筈。ちいとは氣を引締めないとな。