大和但馬屋日記

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片渕監督作品二本

この世界の片隅に」は十三囘目。前の日にULTIRA上映は終つてしまつて小さい箱の上映しかなく觀客の入りも少なかつたが初見と思はれる年配の家族が居て、大いに笑つて泣いてゐた。この映畫はそれがいい。通路の向ひのULTIRA箱で9.1chセンシャラウンドがええ音鳴らしとるせゐでこちらの日常シーンに戰爭の足音が響いてくる演出に感じられるのが、初見客にあらぬ誤解を招きさうで冷や冷やした。それは戰爭ぢやなくて戰車道の足音だからね。それにしても二〇一七年の三月にもなつて「ガルパン」と「この世界の片隅に」が同じ映畫館で觀られるつて、どういふ状況だ。兩方合せたら丁度四十回くらゐは觀てゐる計算か。
そして「マイマイ新子と千年の魔法」。作品自體は三囘目、それと別に二コ生でチラ見したことがあるが映畫館で觀るのはこれが初めて。やはり劇場で集中して觀るのは格別で、今まで見落してゐたものや聞えてゐなかつた臺詞がしつかり見聞きできて、今一つ呑込めてゐなかつた部分がほぼ解消した。やつと作品を十二分に樂しめたと思ふ。
家で觀てゐると、さう惡い音響でもないつもりなのだが押しの強い樂曲に臺詞がところどころかき消されて理解の妨げになつてゐた。特に新子の母の「家出するならちやんとしなさい」「米一升あげるから」といふ呑氣な叫びが今まで聞えなくて、その爲に後半の展開を些か唐突に感じてゐたのだつた。円盤が昨今の風潮に乘つて日本語字幕を收録してくれてゐたら良かつたが、外國語字幕ばかりが充實してゐて勿體なかつた。「マイマイ新子」は劇場で觀るが良い。