大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

すずさんといふ名前

この世界の片隅に」のすずさんとすみちやんの名前は妙に古風である。
十郎さんとキセ丿さんの子供の名前が要一・すず・すみ。おそらくキセノさんの母であるイト婆ちやんの娘がマリナ、その子が千鶴子。すずさんの嫁ぎ先一家の名前が上から圓太郎・サン・徑子・周作、徑子の嫁いだ夫がキンヤで子が久夫と晴美。すずさんの幼馴染が哲、すずさんが迎へ入れた孤兒がヨーコ(仮)。すず・すみだけが何となく浮いてゐるといふか、イト婆ちやんに近いものを感じるのできつとニ人の名付け親はイト婆ちやんなのだらうと思はれる。
自分の係累で戰前戦後世代の名前を思ひ出しても〇〇子・〇〇代・〇〇美・〇〇江といふ名前が大半で、随分前に亡くなつた田舎の向ひの婆ちやんが明治生れでトラさんだつたなあ、くらゐ。大正以後のトレンドからは外れた名前といふのもすずさんのキャラ付けに一役買つてゐるに違ひないと思つた。
登場人物の名前が元素周期表から採られてゐるとか、北條家の人達が幾何學の圚に纏はる字に絡められてゐるといふ有名な考察とは別に、さういふ含意もきつとあるのだらう。