大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

データなし

朝から自転車を担いで新幹線に乗り大阪へ。友人K氏と合流して新大阪から箕面の滝まで走つた。

大阪に住んでゐた頃には箕面に遊びに来たことがなかったので新鮮な気分である。最近、カメラの水平が出なくて困つてゐる。平衡感覚が狂つてゐるのかな。
さて、大阪に来たのは何もサイクリングが目的ではなくて、「ガールズ&パンツァー劇場版」のBD版発売前の見納めのためである。


エキスポシティでは観覧車先輩を建造中。こんなのはなかなか拝めるものではない。基本構造の中にクレーンのレールなどが予め作り込んであつて、これらはゴンドラの設置やメンテナンスに活用されるのだらうか。太陽の塔は永らく見ぬ間に随分草臥れて、流れた汚れのせゐで半目を開けてゐる様にも見える。
さて、「ガルパン」観賞、たぶん十五回目だがもはや回数はよく憶えてゐない。今回の発見はみほと愛里寿の関係について。今まであまり深く考へずに映像と台詞をそのまま呑込んで流してしまつてゐた部分。
ボコミュージアム売店でのレアボコを巡る遣取りで愛里寿にレアボコを譲つたみほは「私はまた来るから」と言つて、その言葉に愛里寿はハッとする。みほは生ボコに上せて他のことが目に入らなくなつてゐるが、聡い愛里寿はもう少し広くその場を見てゐる。その後、大洗女子との試合を母に告げられた時に「私が勝つたらポコミュージアムのスポンサーになつて欲しいの。このままだときつと失くなつちやふ」と強請るのはさういふことで、みほにはそれが見えてゐない。
試合中も大局をコントロールしてゐたのはあくまで愛里寿で、みほはそれに精一杯の抵抗をして何とか勝利を掴んだ。それも一度は愛里寿に命を取られかけたのを辛くも生延びて。試合が決着した後、みほにレアボコを「私からの勲章よ」と言つて手渡すが、この時点でみほは「母校を守つた」といふ実感はあつても、ボコミュージアムがどうなるかといふことは全く意識になかつた筈だ。何しろ、「また来るから」といふ言葉には大洗町の近所にあるといふ気安さも混つた能天気ささへ感じられる。
一方の愛里寿は大洗女子の事情にどこまでコミットしてゐたかは分らないが、何より自らのモチベーションの為に定めたボコミュージアムを存続させられなかつたといふ自責の念を捻伏せてでもみほを称へようとする立派な衿持を見せてゐる。相手が「また来る」と言つた場所を守れなかつたのに。結局島田母が娘の強請に応ヘてボコミュージアムを再建したのはその娘の子供らしからぬ誇リ高さを汲んでのことだらう。それは周り周つてみほがボコミュージアムに「また来る」といふ願ひを愛里寿が叶へたといふことだ。
愛里寿凄えな。
何といふか、西住流と島田流の「格の違ひ」を見せつけられた気さへする。西住家は今回母娘それぞれが現場で泥臭く奮闘する役回りで、それはそれで美しい姿なのだけれど、しかし西住母娘三人が乗越えなきやならん島田流のハードルはとんでもなく高いのではないか、なんてことを思つたのだつた。監督がボコミュージアムの尺をカットさせなかつたのはさういふことか、とね。