大和但馬屋日記

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「時刻表でたどる新幹線発達史」を読んだ。開業以来昨年あたりまでの日本の新幹線についてざつと概観できる大変優れた内容。変転著しい最近のことはともかく、昔からの「常識」と思つてゐた中にも結構知らないことが多くて驚いた。
例へば、新幹線の食堂車は初めからあつて当り前のものだと思ひ込んでゐたのだがそれは誤りで、山陽新幹線が開業するまではビュッフェしかなかつたなんてことを想像もしたことがなかつた。考へてみれば俺は物心ついてから十年間くらゐずつと山陽新幹線にはよく乗つてゐたのだが、東海道新幹線には中学三年の修学旅行まで乗つたことがないのだつた。
最初の記憶で岡山駅に車止めがあつたのだけは今でもはつきり憶えてゐるからその頃にはまだ博多延伸の工事中で、食堂車も同じ頃にやつと投入されたのが最初らしい。あの頃は新幹線といへば盛装して乗るものだつたが今や下駄も同然である。社会全体がだらしなくなつたものだなあと、その点では最先端を行く身でしみじみと思ふ。いや社会関係なくて俺がだらしないだけだ。

時刻表でたどる新幹線発達史 (キャンブックス)

時刻表でたどる新幹線発達史 (キャンブックス)