大和但馬屋日記

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日本GP。予選までは良かつたが決勝は颱風接近により雨は確実。タイムスケジュールがどうなるのか、それ以前に「行つても大丈夫なのか」を同行の友人と散々相談した。
朝、特に状況に変化はなく、であればとにかく行くだけ行つてみようと家を出た。サーキットに着いたのはサポートレースのスーパーFJが終り、ポルシェカップが始まらうかといふ頃合ひ。降つたり止んだりではあるけれども、レースにならない程ではない。俺が初めて鈴鹿に来た一九九四年に比べたら何といふこともない。ただ普通と違ふのは、今日は幾ら待つても状況は悪くなりこそすれ、決して良くなることはないのだ。
マンセルと佐藤琢磨によるFW11とMP4/4のデモ走行は流石にキャンセルとなつたが、クラシックカーによるドライバーズパレードは例年通り行はれ、予定通りレースは始まつた。実に、実に楽しいレースだつた。
改めてやつぱりF1は凄い。音量はたしかに小さくなつて、場内放送が完全に掻消される様なこともなくなつたが、やはりF1はF1だ。マシン毎に個性があつて手に取る様に判る。ウィリアムズが素晴しい。
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今年もDP3で流し撮りに挑戦したが、昨年よりも成功率は下つた。シャッタースピードを遅くして大きく流したせゐでもあるが、何よりエイペックスからコーナー出ロを抜けての加速感が昨年とは明らかに違ふ。まだエイペックスに居る時から「キーン」とタービンの回る音がして、MGUの助けも借りて爆発的な加速力で走り去つて行く。音は低いが、これは凄い。あんなタイミングで踏み込めるドライバーも凄い。F1は凄い。
そんな凄いマシンで、ウェットコンディションでバトルを仕掛けていく奴ら。逆バンクからダンロップへの上りでアウトから抜くアーバイン走法、へアピンをオーバーテイクポイントにした可夢偉走法、そしてS字で仕掛ける中嶋走法。今までの鈴鹿の名バトルの数々が、今年は至る処で再現された。最高ぢやないか。さう思つてゐた、ビアンキの事故が起るまでは。
レース終盤、もう随分暗くなつた頃に雨がまた強くなり、スーティルがクラッシュしてイエローフラッグ。それがセーフティカーに変つたのも当然と思へた。手許のiPhoneのライブタイミングによると、ビアンキも止つてゐた。コースマップで確認すると、スーティルと同じ場所。これはもしかして、スーティルのマシンにビアンキが突込んだのかもしれない。まさかとは思ふがさうだとしたら嫌やなあ、と思つたところで赤旗が出た。そのままレースは終了。
一度も映像は出なかったのでダンロップで何があつたのかはよく分らなかつた。場内アナウンスでビアンキホイールローダーに当つたらしく、怪我をして病院に搬送されるといふところまでは分つた。日も暮れてきたので帰途につき、名古屋までの直行バスに乗つて落着いたところでスマホで情報を集めて、初めて事態の深刻さを把握したのだつた。
付近の交通に乱れはなく、無事に帰宅はできたから良かつたものの、ビアンキのことでレースについて無邪気に語るのが憚られる気分になつてしまつた。ともかくも、ビアンキが立直れることを祈る。