大和但馬屋日記

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日本GP決勝

で、レース。最大の懸念は当然「小林のスタート失敗」と「グロージャン砲の炸裂」だつた。スタートは大成功、ウェバーを抜いて二番手に。そのまま目の前の二コーナーをクリアして行く。そこで何台かスピン、何だかグチャグチャに。目の前が開けてみれば、メルセデスレッドブルフェラーリが。ロズベルグがリタイア、ウェバーは自力で復帰、アロンソはタイヤがパンクしてリタイア。セーフティカー。
コースマーシャルはダンボールを使つた訓練の賜物で迅速に作業を終へ、タイヤを換へたウェバーが隊列に加はるのも待たずにレースは再スタートに。サーキットビジョンで確認、ウェバーを突飛ばしたのは安定のグロージャン砲。ロマインのオンボードカメラがウェバーに当る様を映し出した瞬間、スタンド中が口を揃へて「ま た お 前 か」。
あー、小林はベッテル出抜かれたねー。後ろが詰まつた形になつてしまつた。ヤバいかこれ。
しかし小林のペース自体は悪くない。後ろのバトンにも負けてないどころか、どんどん差をつけてゐる。しかし先に崖が来てしまつたので早めのピットインを強ひられる。対するバトンは長々と引張つてゐる。小林より速い訣ではないから所謂アンダーカットの心配はなささうだが、終盤に効いてくるぞこれは。あれ、ここんところ記憶違ひだつたか。小林はバトンの後から入つたのだつた。
小林の前にはリキアルド。これが蓋になつてマッサとの差が開く。小林は得意のヘアピンでリキアルドを抜いたが、ピットストップでマッサの先行を許してしまつた。ここからのマッサが凄くてねえ。速い速い。先頭のベッテルはちよつと頭をかしいから置いといて、マッサと小林とバトンのタイムの出方から目が離せない。
二回目のピットインは小林の方が早い。後から入つたバトンの前に出た時はホッと胸を撫下したものの、差は殆ど詰つてゐて、いつDRSゾーンに入られるかと思ふと気が気ではなかつた。しかしさうなつてからの踏張りが見事だつたね。結局バトンをDRSゾーンに紙一重で寄せつけず、小林が見事三位入賞。おめでたう、ぢやないよな。彼は頑張つて、やることをやつただけだ。俺らはそれを見て喜ばせてもらつてるだけなんだから、言へることは「ありがたう」だ。本当に有難う。
優勝はベッテル。口を開けば日本のファンを「クレイジー」「クレイジー」言つてくれたが、一番の気狂ひはお前だw 終盤のタイムは本当に気狂ひ染みてゐた。「あれ絶対ピットに『もうやめろ』つて怒られてるよね」「何であんなにタイム出したがるかなあ、何の得もしないのに」「いや、彼にとつてはゲームのタイムアタックモードを遊んでるつもりなんでしょ」。今はテストもできないし、大好きなコースを最高のマシンで自由に気儘に走れるチャンスなんてレース中しかないからねえ。ベッテルがレースやつてる動機つて、本当にそこにしかないのだと俺は思ふ。
二位にマッサ、今日は本当に速かつた。昨日Q2落ちしたのは本当にちよつとした運だつたのね。三位小林を捕へ切れなかつたバトンが四位、五位のハミルトンは端で見てても苦しさうだつた。むしろよくここまで持つて来た。六位ライコネン、小林の表彰台の半分は彼の御蔭かな。予選で小林が一抜けできたのは大きかつた。ヒュルケンベル、、マルドナド、ウェバー、リキアルドまでが入賞。最後まで激しくバトルを仕掛けたマイケルはリキアルドを捕へられなかつた。曰く「トロロッソがストレートで速かつた」。まあ、いいバトルを見せてもらつたよ。
表彰台インタビューは誰がやるんだ? 日本に縁があつて、F1に関はりが深くて名のある人物‥‥「ジョン・サーティースとかどう?」なんて言つてゐたが、蓋を開けてみればジャン・アレジだつた。成程、さうきたか。「ミナサン、ドーモアリガトウゴザイマシタ」。ベッテル、マッサに話を振つて、小林に。「日本語で話してもいいよ」。小林も英語でコメントした後は関西弁でスピーチ。その後ベッテルにマイクが返り、彼も「カムイとはF3時代の仲間だつたから嬉しいよ」。小林がマイクを受けて「今彼が英語で言つたのはこれこれかういふことで、そんなこと言つてくれるベッちやん、あ、ベッちやんて言ふてもた、ベッテルに感謝です」。笑。

日も暮れてきたので、サーキットを後にする。近鉄の磯山駅まで車で送つてもらひ、白子で急行の乗換へ待ちをしてゐると、ホームが少しザワついた。すぐ目の前にヒュルケンベルクが居た、といふことに誰かが言ふまで気付かなかつた。狭いホームの上でザワザワするのも危険だし大人しくしてゐた。どうも同じ頃ウェバーも居たらしい。トップドライバーでも近鉄使ふんだねえ。
九時半過ぎに名古屋を出て十一時過ぎに帰宅。遅蒔きながらビールを空けて祝杯とした。