大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

十年と一箇月。
アナログ停波も9.11も、今となつては自分には直接関係のある事象ではなかつたから、特に何も触れないでゐた。しかし今日、ふとしたきつかけで、こんな映像を見た。

ああ、十年経つたんだな、あの時から。
この映像は、俺の永年の勤務先とその関連会社で制作したものだ。当時自分は別会社のゲームのプロジェクトに参加してゐたから直接には携つてゐないが、横目でチラチラと進行状況を見る立場にはあつた。当時の社長であり個人的にも恩人であつた方が、この仕事を軌道に乗せた時に急逝した。それが八月十三日のことだつた。その影響で起るべき様々な事があつて、ともかくも事態が形だけでも落着いた頃に9.11事件が起きた。事件そのものについては、まあやつぱり他人事だ。当時の日記はそれなりに動転してゐるけれども。この映像が納品されたのはそれからさらに一箇月後のことだつた様だ。たしか秋の改変から使はれる予定だつた筈だが、少しずれ込んてしまつたのかもしれない。
この映像の仕事の話を最初に聞いた時、亡き社長がかう言つてゐたのを思ひ出した。「フジテレビは、今後少なくとも十年間この映像を使ふつもりで作るさうや」。
その後オンエアされた映像は、フルで使はれることは滅多になかつた。この映像で重要なのは最後のステーションIDを告知する部分だけだからだ。さらに時が経ち、深夜放送からそのまま「めざましTV」が始まる状況が常態化して、このクロージング映像自体を目にする機会など殆どなかつたと言つてもいい。
そして、十年。制作当時想像すらしなかつた、アナログ放送停波の時に、フジテレビはこの映像をフルに流してくれたとのことだ。YouTubeにはくだらない批判のコメントがいくつも書かれてゐるが、そんなのはどうでもいい。十年前に、十年使はれるといふ意気込みで作られたものが有終の美を飾つたといふことを、自分が直接携つた仕事ではないにしても少しだけ誇りに思ひながら、歴史的な事実としてここに記しておく。