大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

一年で最もうちのThinkPadが熱くなる日。
上段左からアウディ公式車載映像&テレメトリ配信、ル・マン公式ライブタイミング、F1公式ライブタイミング、下段がプジョー公式ライブチャンネル、プジョー公式車載映像。どれも公式映像であり、ゴニョゴニョなストリーム配信でないところがいいよね。

これに2chの実況スレと、さらにモニタの外ではCSでF1カナダGP。画面が幾つあつても足りん。今年はネットワークの負荷が高すぎて映像がカクカクだ。ビットレート高すぎ。
アウディの三号車がレース開始後一時間ほどで肝が冷える大クラッシュをやらかして、延々ペースカー走行中。いきなり荒れたなー。事故つたのは、鈴鹿130Rを突破つたこともあるマクニッシュ。本人は無事な様で良かつた。
あんまり重いので禁を破つてChromeをインストール。うわ、全ての動画がスイスイ再生される。Opera駄目だ。
ビール呑みながらル・マンとF1を同時に生観戦してると、下らない多幸感に包まれてどうしやうもなくなるな。殺すなら今殺せ。

さて、ゴール。何といふル・マン二十四時間スプリントレース。

優勝は今年もアウディプジョーは全車完走するも敗退。結果だけ見れば「またか」といふ印象が強いが、内容は昨年までとは全く異なるものだつた。
昨年までの図式を簡単に纏めるならば、「圧倒的なスピードのプジョーを、アウディが信頼性で蹴散らす」と言つて良からう。昨年が端的だつたが、ディーゼル化してからのここ数年は概ねさうだつた。
今年はレギュレーション変更に合せて、アウディがコンセプトから変へてきた。それは、「プジョーよりも速いマシンを作る」といふことだつたのだらう。ラップタイム自体は全体に遅くなつてゐるが、アウディの速さは異常だつた。速さの引換へに燃費が悪くなり、アウディプジョーより三回も多くピットインしてゐる。その上で、ゴール時点でアウディプジョーの差はたつたの十三秒。二十四時間走つて、三十回前後もピットに入つて、ゴールした時のタイム差が十三秒だ。セーフティカーは四回も出た、雨も降つた。いろいろあつて、十三秒だ。ゴール前三十分の頃には、四秒差にまで縮まつたのだ。
今年のアウディは、盤石ではなかつた。スタート後五十分で三号車が、六時間四十分で一号車がどちらもマシンを大破させるクラッシュでリタイア。どちらもフェラーリのGTカーを抜かうとして起きたレーシングアクシデントだつた。途中、何度もプジョーがトップに立つた。全てを背負つたアウディ二号車が、何度も何度も何度もプジョーを抜いて、トップを奪ひ取つた。もはや耐久レースではない。
むしろ耐久レースにあるべき盤石さを、毎年の挑戦の末にやつと手にしたのがプジョーだつた様に見えた。レース終盤の、プジョー公式チャンネルを通して映るプジョー陣営に張詰めた悲壮感、哀しみと苦しみに満ちた、一縷の希望に縋る様な人々の表情が印象的だつた。
ウィナードライバーとなつたロッテラーと、同じマシンをシェアするトレルイエは日本で活躍するドライバーだ。ライセンスの発給をを日本で受けてゐるから「日本のエントラント」として登録されてゐる彼らのヘルメットには「SAVE JAPAN」のマーキングがあつた。こんな凄いレースがあつたことなんて、日本で報じられることもないのだらう。リザルトを見て判る通り、LMP2クラスの上位四台のエンジンはニッサンとホンダだつたことも記しておきたい。
レース前のイベントでは一九九一年優勝車のマツダ787Bが招待されてデモランを行つた。

今も世界に愛される歴史的名車だ。このデモランのためにフルレストアを行つたさうだ。今のアウディプジョーと比べると、驚く程コンパクトなボディだな。