大和但馬屋日記

はてなダイアリーからの移行中

今更ながら「FM音源マニアックス」を好きになる様努力してみた

yms-zun2006-12-28

発売されてから半年の間、頑張つて何度も聴き返してみたけど、駄目だつた。まあ、聴きたくなくなるほど嫌ひな訣ではないにしても無理せずに聴きたくなる様なもんでもないなあと。まあ大体評判通りの感想。でも「昔のゲームみたいな音・曲調ぢやないから」といはれるとやはりそれだけぢやないよなあ、と思ふ。
FM音源にわざわざ演奏さすといふのは、もちろんMIDI音源としてのFM音源とかDX-7の様な歴とした「楽器」があることは承知の上で、でもさういふもので音を鳴らすといふのとは意味が違ふんぢやないか。
ゲームの音楽がストリーミング再生されるのが基本の今と違つて、FM音源で鳴らしてた頃といふのはリソースが足りないから毎度毎度音源チップにデータを送つて「演奏させる」といふのが良かつたんぢやないか。喩へるなら「オルゴールで鳴らした曲の入つたCD」と「オルゴールそのもの」のどちらが嬉しいか、みたいなもんでさ。
FM音源(に限らずストリーミング再生でない音源)が主流だつた頃のゲーム音楽つて無声映画に楽団が生演奏を附けてた様なもんで、それは必ずしも「生だから良い」といへる様な類のものではないかもしれないけど、だからこそ感じる「嬉しさ」の様なものがあつたんぢやないか。ゲームのサントラCDはそれあワシも沢山買つたけど、それはやはり代替物でしかないわけで。いつでも好きなときに聞くにはさうするしか仕方ない。
で、「FM音源マニアックス」だけど、「FM音源エミュレータで作つた音を素材にしました」いやだからさうぢやねーんだ。それあ勝手に「昔のPC-8801mkIISRとかX68000を引張りだしてその上で作曲・演奏させました」みたいのを期待したワシが悪いんかもしらんけど、ウェブ上でもファミコンエミュレータで演奏させた曲とかがあるから、さういふものかと思つたのさ。まあ、お忙しい「現時点でのプロ」の方々がそんなものをわざわざ使ふ筈もないわな。
でもさ、だつたら「グラII」の曲を書いたかもしれんけど当時から自分でFM音源を弄つてデータに落としてた訣ぢやない人をフィーチャーするとか、さういふトンチキな真似はしなければいいのに。
「生演奏感」でいふとDSの「バンブラ」とか「キラミュー」とかがいい感じなのだが、「世界樹の迷宮」における「PC-88の音源で鳴らした音をサンプリングして云々」といふのがいい方向に転がるかどうかが心配でもある。チープな音だからいいといふのは何か違はないか? まあ、このアルバムでも一番安心して聴けるあの人の仕事だから、杞憂ではあるのだらうが*1
といふ訣で「メルヘンメイズ」と「ブレイザー」をヘビーローテーションしてる方がワシにとつてはよほどFM音源マニアックスだと思つた。これが基板上で毎回「生演奏」されてたと思ふと未だにゾクゾクする。

読み返して

PSGやFM音源による演奏を「生」と考へるのは変かな。それをオルゴールに擬へたとして、ではオルゴールは「生演奏」か?
屁理屈を言ひ出したら「レコードの溝に刻まれた山や谷を音声に変換するのも」「磁性面の信号を」「激光反射面の」「うるせーばか」みたいなことになるけれども、まあ、ワシはオルゴールあたりまでに「生」感を感じる。それが質的に優れてゐるかどうかではなく、さういふのは「なんか嬉しい」よな、といふ話。そのへんから切り離されて「FM音源」言はれても困るといふか。

*1:蛇足ながら「世界樹の迷宮」と「Oblivion」はRPGだけど今のワシが遊んでみたい二本だ