大和但馬屋日記

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ARIA The NATURAL #26

綺麗な最終回だつた。主要スタッフが最後の最後でいい仕事をみせてくれた。
海際のカンポで周辺のアパート住民と雪達磨を作るシーンで沖を走る水上バスの乗客と手を振り合ふところが演出として秀逸。あとは当り前だけど、ラストでウンディーネ娘たちがそれぞれに先輩から昇格の示唆を受けるところが良かつた。エンディングテーマが第一期の「Rainbow」だつたのも、自然に嵌つてたと思ふ。文句なし。
最終回について書けることは以上の様なもので、気分が良くなつたので少々扱下ろしすぎた前回(第二十五話)分に関してもう少し。
前回、脚本担当は藤咲あゆなだつた。前にこの脚本家の話は買つてゐると書いたけれども、その評価が自分の中で下がつた訣ではない。何故なら、「アイのお婆ちやんの具合が悪くなつた」といふ伏線は二十三話で張られたもので、「その後アイからの音沙汰がない」といふ引張りも二十四話でなされたものだから、それを回収する話の出来があんなものであつたとしても悪いのは脚本家ではなくシリーズ構成の人だらう。
二十三話・二十四話といふそれぞれに「いい話」の最後で灯里(と視聴者)に心配の種を投げかけて、二十五話の前半でさらにそれを矯めに矯めておいて、「ビックリさせようと思つて」「お婆ちやんはもういいの?」「うん、もうすつかり」これだけで終らせて、以後特にアイが居ても居なくても構はない話を原作通りに進めて終り。尻すぼみもいいところで、何より画面に登場しなかつたアイのお婆さんが気の毒で仕方がない。かういふ登場人物に対する不誠実な態度は、他の作品ならともかく「ARIA」で見たくはなかつたな、と思ふ。
どうせならば、お婆さんも一緒にアクアにやつてきてレデントーレに加はつても良かつたのではないか。そしてお婆さんが若い頃にやはりアクアに来たことがあり、しかも当時トッププリマだつたグランマのゴンドラに客として乗つたことがあることを思ひ出した、くらゐでやうやく釣合ひが取れるのではないか。本作のテーマにも合つてるし。まあこの種の妄想は言ひ出したらキリがないので止しておかう。とにかく、お婆さんといふ存在自体がつまらないネタのために使ひ捨てられたのが残念であり、勿体なくもあつたと思へてならないのだ。結果として折角のレデントーレの話が名エピソードに成り得なかつた。
うまく締められないので以上。気が向いたら総括的なことを書くかもしれない。