大和但馬屋日記

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CX300の使用感

所謂カナル型のヘッドホンを使ふのは初めてだ。だから他と比べてどうかうといふのはよく分らない。
その構造から察するに外耳道そのものを共鳴箱とするらしく、なるほど細かい音までよく聞き取れる。外部の騒音に対する遮音性もあるから、音を聴くには合理的な形なのだと理解した。その反面、同じ原理であるからして内部の騒音に弱い。内部といふのはワシ自身の身体であつたり、ヘッドホンのケーブルであつたりといつたものだ。ケーブルが衣服と擦れる音や自分自身の咳払ひはおろか呼吸の音までがバッチリ聞こえてしまふ。耳に付けたまま歩かうものならズンズン響く足音が重低音のリズムを刻み、外を歩いて風が吹けばヒュルヒュルとした風鳴りがどんな音楽に対しても漏れなく寂寥感をミックスしてくれる。かういふものだと納得はするけれども、メリットに対するデメリットは割と無視できない気がした。
遮音性が高すぎるのも良し悪しで、よほど独りになりたい時はいいけれど、外界に対する拒絶感はものすごいものがある。外で使ふのは危ない。音量を絞つたところで耳栓を着けてゐるのと変らないし。また、音量には特に注意しないと、これは簡単に耳を駄目にしてしまひさうだ。鼓膜そのものが音楽に合せてエージングされる印象。
とまあ、色々「怖いなあ」と思ひつつ、やはり細かい音までよく聴こえるのは楽しいので、程々に正しい使ひ方をすることにしよう。