大和但馬屋日記

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今日も二冊

職業欄はエスパー(森達也,角川文庫) - 大和但馬屋読書日記 - bookグループ

職業欄はエスパー (角川文庫)

職業欄はエスパー (角川文庫)

超能力者として一度はメディアで話題を集めたことのある三人を追ふドキュメント。
途中でも書いたことだが、超能力者たちの生き方よりも彼らへの接し方に戸惑ふ著者の様子が面白かつた。それが世間を代表する態度であるとはいへないにしても、社会における超能力者の受容れられかた(あるいは拒絶のされかた)の有り様を示してゐる。
著者は何度も「(超能力を)信じるか信じないか」といふ選択を自らに突きつける。このテーマを追ふ限り、どこの誰に会つて話しても最後はその二択に行き着いてしまふといふ。本当は、その二択が究極の選択ではないはずであることくらゐ、著者も分つてゐるだらう。しかし、最後にはそこに行き着いてしまふ。そのどちらかを選ばせることで、誰かが誰かを篩にかけようとしてゐるかのやうに。まこと厄介な話だと思ふが、世の中とはそんなものだらう。
関係ないけど、田原町の仏具店とか北千住の幽霊スポットとして名高いアメージングスクエア(大和但馬屋カートオフの会場であるシティカートの所在地)とか、妙に馴染みのある場所が出てきて可笑しかつた。さうか、オレは清田氏と自転車で擦れ違つてゐる可能性が高かつたのか。

涼宮ハルヒの溜息(谷川流,角川スニーカー文庫) - 大和但馬屋読書日記 - bookグループ

涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)

シリーズ二作目。一人セカイ系涼宮ハルヒが映画を撮らうと大迷惑。要約完了?
うーん、一作目で基本設定を与へられた後に「映画を撮る」といふテーマを持つてきたのなら、もつと色々やつてほしかつたと思ふのは贅沢なのか。まあ、それは下手したら「アベノ橋魔法商店街」にしかならないかもしれないけれど(どちらが先とかではなくて)。長編のわりに小さくまとまつた感があつて物足りない。なんといふか、「世界の在り方を左右できる存在でありながらそのことに無自覚で、世界の変容を望みつつも常識が邪魔をしてゐる」といふハルヒの基本設定こそが話を煮え切らなくさせてる原因なのではないかと。でも、話の落し方はよかつた。
気が向いたら続きを以下略。