大和但馬屋日記

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最後のチャンピオンまつり

ゴジラFINAL WARS

全く期待はしてゐなかつた。「総勢ン十人の豪華キャスト」だの「過去の怪獣たちが目白押し」だの、前作「G×M×MG*1」公開の前日に発表された今作の触込みはどれも「頼むからやめてくれ」と言ひたくなる様なものだつたから。そして、折々にリークされる情報も「映画として」大丈夫かと心配になつてしまつたし、何より今回登場するゴジラその人の造形のひどさには閉口した。
でもまあ最後だし、といふ理由がなくとも上映が始まれば出かけるのが性といふもので、いつものやうに浅草東宝まで行つてみると、ゴジラがかかつてない。オイ。何ですかこの見返り婆さんの絵は。仕方ないので上野まで出る。ピカデリー2、てことはあの小さい銀幕の小部屋か。上等だ。席は八割方埋つてた。浅草で観るときは大抵十人程度の観客だから、これは大したものだ。
で、いよいよ映画が始まつた。
冒頭に出てくるシンボライズされたゴジラのシルエット。やはり酷い。これではまるで「チャンピオンまつり」版ゴジラではないか。
マンダ対轟天号。まあこんなものだらう、とまだ醒めた目で観てゐた。
ラドンが出て来て、少し画面を見る目が変つた。これは、結構カッコいいのではないか?
アンギラス。なるほど、極力下半身を見せない作戦に出たか。おそらく、膝をついたところを見せたカットはひとつもないはずだ。「このアルマジロ野郎」さうか、アンキロサウルスぢやないのか。それで丸まつて転がつていつでもSMILE FOR Y0Uなのな。
カマキラス。クモンガ、エビラ。何でこんな奴らが。キングシーサー、わはは、メチャクチャや。そして、ZILLA。思つたよりはちやんとしてるな。
この辺りで、当初の不安のことはもはや忘れてゐた。「怪獣が沢山出てるから楽しいなあ」くらゐの意識レベルに退行。隣の席の、やたら怪獣に詳しいお子様と変らん。さうだ、この映画は彼のために作られてんだ。オーケー。
しばらく(子供にとつての)ダレ場が続いた後、いよいよゴジラ復活。ガイガン戦。弱(ガイガンが)。ZILLA戦。弱(ZILLAが)。お前はミスターサタンか。
クモンガ戦。弱(クモンガが)。カマキラス戦(ry)。
そしてアンギラスキングシーサーとの三ッ巴戦ラドンもゐたので四ッ巴キングシーサーアンギラスをボールにして空中キック! ゲラゲラ。ンなアホな! とツッコむ。
ここから後はお約束の「ジャンプアニメの劇場版」な展開に一直線。あれがああしてかうなつて、モンスターXのデザインは怪しいと思つたらやつぱりアレで。モスラは勝手に出てきて一人で活躍してやがる。
無理矢理結末の体裁を縫ふやうにミニラが出てきて終り。ちやんちやん。いや、面白かつた。
オレは世代的にズレてるんでチャンピオンまつりの頃のゴジラをリアルタイムに観たことはない*2けれど、あの時代に怪獣を観に映画館に連れて行つてもらつた子供たちは、かういふものを観てたんだな、と初めて実感した。それは、とつても楽しいことなんだ。大人になつてからテレビで「オール怪獣大進撃」あたりを観てしたり顔で「クズ映画」なんて言つてる手前の方がよつぽどクズなんだよ、と。ゴジラが「シェー」をしたつて、吹出しで話したつて、空飛んだつて、それで怒る奴が馬鹿。昨日までのオレは馬鹿でした。ゴジラの造形だつて、かうして見れば必然だつたのだきつと。格好悪いけど。
まあ、「映画」といふカルチャーが好きな人にとつて「ファイナルウォーズ」は観るに耐へない代物だらう。でも、土日の朝の数時間にテレビの前に釘付けになつてる「おともだち」にとつちや、実に楽しい時間を過せること請合ひですよ。もうね、ああしたものを「認める」「認めない」の文脈でしか語れない人が気の毒に思へるくらゐに。
ただ、まあ、二度は観なくていいけどね。ジャンクな菓子をたらふく詰込んで、お腹一杯ですわ。
さうさう、書き忘れてたけどヘドラも映つてたよな、たしか。ホントに「映つてた」としか言ひ様のない活躍のなさで。あと、生足天国。

*1:ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

*2:個人的ゴジラ初体験は「のび太の恐竜」併映のモスゴジだつた。もちろん再上映