大和但馬屋日記

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夏の思ひ出キリがいい

はてな読書bookグループの夏季限定企画夏に読みたいこの一冊を見て、グループの外から勝手に参加してみる。

山のむこうは青い海だった(今江祥智,理論社,ISBN:4652005210)山のむこうは青い海だった

古い児童書だけれども、本好きだつた子供が本から離れようとしてゐたのを喰ひ止めてくれたといふ意味で、自分にとつては大事な一冊。
典型的な夏休みもののジュヴナイル。舞台は昭和三十年代、当然の様に「戦後のゴタゴタ」が顔を出して少しウェットな展開になつたりもするが、それもまた夏休みの読み物には欠かせない味付けと思へばよい。
この本で高杉晋作イブ・モンタンの名を知り、和歌山弁を(字面だけ)覚えた。長じて映画「グランプリ」をビデオで見たとき、本物のフォーミュラマシンを運転するモンタンの姿を目にして感激することにならうとは、その時は思ひもしなかつた。本の中でモンタンが重要な位置付けをされてゐるわけではないが、かういふところで覚えた名前は忘れないものだ。劇場版「ルパン三世」で覚えたハンフリー・ボガードなんかも同様で。比較的最近になつて「世に棲む日日」を読んだりしたのも、元を糺せばこの本のせゐだつたのだらうなあ。
そんなわけで本の魅力を少しも語らずに思ひ出語りだけして終るのであつた。